地上の建物が建築基準法第三五条に違反するものであつても、その敷地の賃貸借契約の無効を来すことはない。
建築基準法違反の建物敷地の賃貸借の効力。
民法90条,民法601条,建築基準法35条
判旨
特定の行政法規への違反が、私法上の賃貸借契約の効力に直接影響を及ぼすものではないとの判断を維持し、権利濫用の主張を排斥した。
問題の所在(論点)
行政上の取締法規等に違反する行為が、民法上の賃貸借契約の有効性に影響を及ぼすか。また、当該事案において契約の効力を主張することが権利濫用に該当するか。
規範
行政法規(取締法規等)に違反する行為であっても、直ちにその私法上の効力が否定されるものではなく、法規の趣旨、目的、公序良俗への反抗性等を総合的に考慮して判断される。また、形式的な権利行使であっても、その経緯や必要性、相手方に与える不利益を鑑み、社会通念上許容されない場合に限り、民法1条3項の権利濫用として制限される。
重要事実
上告人と被上告人の間で賃貸借契約が締結されたが、当該契約に関連して何らかの法令違反(具体的な法名は判決文からは不明)が存在した。上告人はこの法令違反を理由に、賃貸借契約関係の無効を主張した。また、あわせて権利濫用の主張も行い、契約の効力を争った。
事件番号: 昭和33(オ)379 / 裁判年月日: 昭和34年12月10日 / 結論: 棄却
農地の小作権譲渡契約につき臨時農地等管理令第七条ノ二所定の地方長官の許可を受けていなくても、右契約は当然無効ではない。
あてはめ
原審の事実認定によれば、指摘された法令違反は賃貸借契約関係を無効ならしめるほどの性質を持つものではない。また、上告人が主張する事情を考慮しても、被上告人による権利の主張や契約の維持が社会的に不相当とは認められず、権利濫用には当たらないと解される。
結論
本件賃貸借契約は有効であり、法令違反を理由とする無効の主張および権利濫用の主張は認められない。
実務上の射程
取締法規違反が私法上の契約の効力に直結しないという法理は一般的であり、答案上は公序良俗(民法90条)や権利濫用(1条3項)の文脈で、私法的効力を維持すべきか否かの判断枠組みとして活用できる。ただし、本判決自体は上告棄却の簡潔な結論にとどまるため、具体的な判断要素は下級審の判断を首肯する形式で示されている。
事件番号: 昭和28(オ)1227 / 裁判年月日: 昭和29年11月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法2条、7条の規定に反し、借地権者に不利な特約は、同法11条により無効(定めないものとみなす)とされる。 第1 事案の概要:上告人(賃貸人)と被上告人(賃借人)との間で締結された本件土地の賃貸借契約において、一定の特約(具体的な内容は判決文からは不明)が付された。被上告人は賃借権の存在確認等を…
事件番号: 昭和27(オ)581 / 裁判年月日: 昭和32年1月31日 / 結論: 棄却
賃借権存在の確認請求訴訟において、原告の主張する賃料より低廉な賃料の定めある賃借権の存在を確認しても、当事者の申立てない事項につき判決したものとはいえない。