農地賃貸借解除の意思表示は、裁判上なされる場合でも、知事の許可を受けていない以上、農地法第二〇条により無効と解する。
農地賃貸借解除の意思表示が裁判上なされる場合に知事の許可を要するか。
民法541条,農地法20条
判旨
農地の賃貸借の解除には、農地法20条(現18条)に基づき知事の許可が必要であり、この制限を課す同条の規定は憲法29条に違反せず合憲である。
問題の所在(論点)
農地法20条(現18条)による農地賃貸借の解除制限は、憲法29条に違反するか。また、知事の許可を得ずになされた解除の意思表示の効力はどうなるか。
規範
農地の賃貸借の解除等の制限を定める農地法20条(現18条)の規定は、公共の福祉による財産権の合理的制限として憲法29条に違反しない。したがって、同条に基づく知事の許可を欠いた解除の意思表示は、たとえ訴状によってなされたとしても、その法的効力を生じない。
重要事実
農地の賃貸人である上告人が、賃借人に対し、賃貸借契約の解除を求めて提訴した。上告人は、訴状をもって解除の意思表示を行ったが、当該解除について農地法20条(現18条)に定める知事の許可を得ていなかった。上告人は、同条の制限は憲法29条の財産権保障に違反し無効であると主張して、解除の有効性を争った。
あてはめ
農地法20条(現18条)は農地の利用関係を安定させる公共の目的を有しており、憲法29条が許容する合理的制限の範囲内である。本件において、上告人が訴状で行った解除の意思表示は、同条が要求する知事の許可を得ていない。したがって、法律上の要件を欠く以上、当該解除の意思表示を有効と認めることはできない。
結論
農地法20条(現18条)は合憲であり、知事の許可を欠く解除の意思表示は無効である。
実務上の射程
農地賃貸借の終了に関する法的枠組みにおいて、農地法の公法上の規制が私法上の契約解除の効力を直接左右する(強行規定性)ことを確認する際に用いる。また、財産権の制限が合憲とされる典型例として、昭和35年の大法廷判決を維持・踏襲した判例として位置づけられる。
事件番号: 昭和28(オ)378 / 裁判年月日: 昭和29年11月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧農地調整法9条の規定に基づく農地の賃貸借の解約等に対する制限は、憲法上の財産権を保障する趣旨に反するものではなく、公共の福祉による合理的な制限として適法である。 第1 事案の概要:本件の具体的な事案事実は本判決文からは不明であるが、旧農地調整法9条に基づく農地の賃貸借の解約等の制限に関し、その適…