地代家賃統制令および同令施行規則にいわゆる「併用住宅」にあたるか否かについて審理不尽とされた事例。
判旨
自白の撤回が許容されるか否かの判断は、それによって主張しようとする法的効果(地代家賃統制令の適用等)の成否に直結する。裁判所は、自白が真実に反し錯誤に出たものであるとの主張に対し、審理を尽くさずに自白の成立を前提として判決を下すことは許されない。
問題の所在(論点)
自白の撤回が主張されている場合において、その当否を判断せずに自白を前提とした判断を下すことが許されるか。また、過大催告に基づく契約解除の有効性が争点となる。
規範
裁判上の自白が成立した場合、当事者は原則としてこれを撤回できない。しかし、自白が真実に反し、かつ錯誤に基づいたものであることを証明した場合には、その撤回が認められる。また、自白の撤回の許否は、当該事実を前提とする法規適用の可否を判断する不可欠の前提となるため、裁判所は審理を尽くしてその当否を判断しなければならない。
重要事実
賃借人である上告人らは、賃料月5000円および店舗面積7坪余という事実について自白していたが、後にこれが真実に反し錯誤に基づくものであるとして撤回した。上告人らは、実際の面積は6.27坪であり、これによれば地代家賃統制令が適用され、約定賃料は無効かつ催告も過大になると主張した。原審は、延面積のみを理由に同令の適用を否定し、自白の撤回について判断しないまま請求を認容した。
あてはめ
本件では、店舗面積が6.27坪であれば併用住宅として地代家賃統制令が適用される疑いがある。この場合、約定賃料5000円の有効性や、それを基準とした催告の有効性が否定される可能性がある。それにもかかわらず、原審は自白の撤回の許否を判定せず、延面積のみから直ちに同令の適用を否定した。これは、判決の前提となる重要事実の存否を確定するための審理を尽くしておらず、理由不備があるといえる。
結論
原判決には審理不尽、理由不備の違法があり、判決の結果に影響を及ぼすことが明らかであるため、破棄・差し戻しを免れない。また、約4万円の過大催告が履行遅滞の効力を有するかについても再考を要する。
実務上の射程
民事訴訟法上の自白の撤回(真実に反すること・錯誤)の要件を検討する際、その撤回が判決の結論(本件では統制令による賃料額の変化)にどう影響するかを意識した論述に用いる。特に、過大催告の有効性とセットで論じられることが多い事案である。
事件番号: 昭和36(オ)561 / 裁判年月日: 昭和38年10月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白の取消しが認められるためには、自白が真実に反し、かつ、錯誤に基づいたものであることを要する。本件では、鑑定結果が自白した賃料額を下回るというだけでは、直ちに自白が真実に反し錯誤によるものとはいえないと判断された。 第1 事案の概要:上告人(被告)は、第一審において本件家屋の賃料相当額が…