一 一審における補助参加人が控訴の申立をなした後、被参加人が遅滞なくこれを取り消した場合には、右控訴の申立は効力を生じない。 二 補助参加人は被参加人を勝訴させることによって自己の利益を確保するため、被参加人を補助する目的をもって訴訟に関与するものであるから、一審における補助参加人が控訴を申し立てると同時に被参加人および被控訴人双方を相手方として当事者参加の申立をなし、右申立が被参加人の請求そのものを否定せんとするものであるときは、右控訴の申立は権利の濫用として許されない。
一 被参加人が補助参加人のなした控訴の申立を遅滞なく取り消した場合の控訴の申立の効力。 二 補助参加人のなした控訴の申立が権利の濫用と認められた事例。
民訴法360条1項,民訴法69条2項,民法1条
判旨
補助参加人による控訴の申立てに対し、被参加人が遅滞なくこれを取り消す意思を表示した場合には、当該控訴はその効力を生ぜず不適法となる。また、名目上は補助参加でありながら、実質的に被参加人の請求を否定し被参加人と争うことを目的とする控訴の申立ては、控訴申立権の濫用として許されない。
問題の所在(論点)
補助参加人が申し立てた控訴に対し、被参加人がこれを取り消す意思を表示した場合における控訴の適法性、及び補助参加人による控訴申立権の濫用の成否が問題となる。
規範
補助参加人は、訴訟の状態に応じて攻撃又は防御の方法を提出できるが、その訴訟行為が被参加人の行為と抵触するときは効力を有しない(民事訴訟法45条2項参照)。補助参加人が被参加人の意思に反して控訴を申し立てた場合、被参加人が遅滞なくこれを取り消したときは、当該控訴は不適法となる。また、補助参加の趣旨(被参加人の補助)を逸脱し、実質的に被参加人と争う目的でなされる行為は、控訴申立権の濫用にあたる。
重要事実
事件番号: 昭和41(オ)539 / 裁判年月日: 昭和46年6月29日 / 結論: 棄却
補助参加人のなした控訴の申立が被参加人の意思に反するものであつても、その申立の以前に、被参加人が相手方と不控訴の合意をなし、または控訴権を放棄していたなどの事由の存在しないかぎり、右控訴の申立は、被参加人の訴訟行為に抵触するものとはいえず、無効とはならないものと解すべきである。
上告人(補助参加人)は、被参加人(原告)が第一審で敗訴したことを受け、補助参加人として控訴を申し立てた。被参加人は、控訴状の送達によりこれを知るや、直ちに「控訴取下げ申立」と題する書面を提出し、第一回口頭弁論期日においても「無用のお節介である」旨を述べて上告人の行為を非難し、控訴の申立てを承認しない意思を明確に示した。なお、上告人は控訴と同時に、被参加人及びその相手方の双方を被告とする当事者参加の申立ても行っており、その内容は被参加人の請求そのものを否定するものであった。
あてはめ
被参加人は、補助参加人による控訴を知った後、速やかに「控訴取下げ申立」の書面を提出し、期日においても同様の陳述を行っている。これは「遅滞なく控訴の申立てを取り消したもの」と評価できる。また、上告人の当事者参加の申立理由等を総合すると、その目的は被参加人の補助ではなく、被参加人の請求を否定して自ら争う点にある。これは、被参加人を勝訴させることで自己の利益を確保するという補助参加の本来の目的を逸脱しており、名を補助参加に借りた権利の濫用といえる。
結論
本件控訴の申立ては、被参加人の意思に反する取り消しがなされたこと、及び控訴申立権の濫用にあたることのいずれの点からも不適法であり、却下されるべきである。
実務上の射程
補助参加人の行為が被参加人の意思(訴訟追行の自由)に拘束される場面を具体化した判例。答案上は、民訴法45条2項の「抵触」の具体例として、また、補助参加の目的(被参加人の補助)を逸脱した不当な訴訟行為を権利濫用として排除する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和26(オ)724 / 裁判年月日: 昭和28年7月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】補助参加人は当事者を補助する従属的な地位にすぎないため、被参加人は、補助参加人が提起した控訴をいつでも取り下げることができる。 第1 事案の概要:補助参加人が被参加人のために控訴を提起したが、その後、被参加人が当該控訴を取り下げた。補助参加人は、被参加人による控訴取り下げは認められないとして争った…
事件番号: 昭和32(テ)27 / 裁判年月日: 昭和33年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準禁治産者が上告の申立てを行うには保佐人の同意を要し、裁判所の命じた期間内にその欠缺を補正しない場合は、上告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:上告人は旧民法下の準禁治産者(現在の被保佐人に相当)であった。上告人は本件訴訟において上告の申立てを行ったが、これについて保佐人の同意を得ていな…
事件番号: 昭和37(オ)537 / 裁判年月日: 昭和40年12月21日 / 結論: 棄却
債権者が譲渡担保ならびに代物弁済契約に基づいて債務者から立木の所有権を取得したことを理由に右立木につき伐採搬出を許す旨の仮処分命令を得て、これを伐採搬出したが、右契約が臨時物資需給調整法に基づく木炭需給調整規則(昭和二四年農林省令第七四号)に違反する木炭出荷義務を担保するためになされたために無効であり、したがつて、債権…
事件番号: 昭和37(オ)536 / 裁判年月日: 昭和40年12月21日 / 結論: 棄却
臨時物資需給調整法に基づく木炭需給調整規則(昭和二四年農林省令第七四号)施行当時、木炭の生産者が同規則第二条、第一四条に違反して集荷業者でない者との間に締結した木炭譲渡契約は、私法上その効力を有しないものと解すべきである。