判旨
建物所有を目的とする賃借土地において、土地面積が30坪を超えていても、その地上建物の延べ面積が30坪以下であれば、地代家賃統制令の適用を受けると解すべきである。
問題の所在(論点)
地代家賃統制令23条2項3号の適用に関し、土地面積が30坪を超える場合に、地上建物の規模を考慮せずに同令の適用外とすることができるか。土地面積と建物延べ面積のいずれを基準に適用を判断すべきかが問題となる。
規範
地代家賃統制令23条2項3号の反対解釈によれば、延べ面積が30坪以下の建物はその敷地と共に同令の適用を受ける。したがって、賃借土地自体の面積が30坪を超えている場合であっても、当該土地が建物所有を目的として賃借され、かつ地上建物の延べ面積が30坪以下であるならば、当該土地(敷地)には依然として同令が適用される。
重要事実
上告人は、被上告人から30坪を超える土地を賃借していた。原審は、当該土地が30坪を超えるという事実のみをもって、昭和31年7月1日の地代家賃統制令改正(建物延べ面積30坪超を適用除外とする規定の施行)により、直ちに同令の適用が排除されると判断した。しかし、記録上、当該土地は建物所有目的で賃貸された可能性があり、また一審の検証結果等から、地上には坪数不明ながら建物が存在し、上告人は家敷地部分が27坪である旨主張していた。
あてはめ
地代家賃統制令の趣旨は建物およびその敷地の借賃統制にある。本件において、上告人は土地が建物所有目的であると主張し、実際にも建物が存在していることが窺われる。同令の規定上、適用の是非は「建物の延べ面積」を基準に決すべきであり、本件土地が30坪を超えているという一事のみをもって適用除外とした原審の判断は、建物の延べ面積が30坪以下である可能性を看過したものであり、審理不尽といえる。
結論
土地面積が30坪を超えていても、地上建物の延べ面積が30坪以下であれば地代家賃統制令の適用がある。原判決を破棄し、建物の用途・面積等の事実関係を確定させるため差し戻す。
実務上の射程
行政法規や統制法規の適用範囲を判断する際、条文が掲げる基準(本件では建物の延べ面積)を、関連する他の要素(土地の面積)と混同してはならないという解釈指針を示す。事案の特殊性(統制令)はあるが、要件該当性の判断において基礎となる事実(建物の規模)を確定せずに結論を導くことは審理不尽・理由不備となるという、事実認定のプロセスに関する規範としても機能する。
事件番号: 昭和37(オ)1329 / 裁判年月日: 昭和38年12月6日 / 結論: その他
地代家賃統制令の適用を受けなくなつたことを認める旨の当事者の陳述によつて、同令の適用の有無を判断するにつき拘束を受けることはない。