地代家賃統制令の適用を受けなくなつたことを認める旨の当事者の陳述によつて、同令の適用の有無を判断するにつき拘束を受けることはない。
一 地代家賃統制令第二三条第二項三号の解釈を誤つた違法があるとされた事例 二 地代家賃統制令の適用を受けなくなつたことを認める旨の陳述の拘束力
地代家賃統制令23条2項3号,民訴法257条
判旨
地代家賃統制令の適用除外に関し、土地の面積が30坪を超えていても、その地上の建物の延べ面積が30坪以下であれば依然として同令の適用を受ける。また、法の適用に関する当事者の陳述は単なる法律上の意見にすぎず、裁判所を拘束しない。
問題の所在(論点)
1. 地代家賃統制令の適用除外要件において、土地面積と建物延べ面積のいずれを基準とすべきか。2. 当事者が行った「法適用の有無」に関する陳述に、裁判所は拘束されるか。
規範
1. 地代家賃統制令23条2項3号の解釈として、建物所有目的の賃借地が同令の適用を除外されるか否かは、土地自体の面積ではなく、地上建物の延べ面積が30坪を超えるか否かによって決する。2. 強行法規の適用の有無など「法律上の意見」に関する当事者の陳述は、裁判所を拘束する裁判上の自白(民事訴訟法179条参照)には当たらない。
重要事実
上告人は建物所有を目的として土地を賃借していた。原審(一審・二審)は、当該土地の面積が30坪を超えていることのみを理由に、昭和31年7月1日の地代家賃統制令改正と同時に同令の適用が除外されたと判断した。この際、上告人自身も「同令の適用を受けなくなったこと」を認める陳述をしていたが、地上の建物の正確な延べ面積や、土地が建物の敷地と認められるかについての詳細な認定はなされなかった。
あてはめ
1. 地代家賃統制令は、建物所有目的の土地賃料も統制対象としている。同令23条2項3号の反面解釈によれば、延べ面積30坪以下の建物はその敷地と共に同令の適用を受けるため、賃借地の広さにかかわらず「建物の延べ面積」を基準にすべきである。原審は建物面積を確定しておらず、審理不尽である。2. 上告人が「同令の適用がなくなった」と認めていた点について、これは事実の主張ではなく「法律上の意見」の陳述にすぎない。裁判所は法の適用に職責を負うため、当事者の誤った法律的見解に拘束されず、客観的事実に基づき法を適用すべきである。
結論
土地面積のみをもって統制令の適用外とした原判決は法解釈を誤っており、また当事者の法律上の意見に拘束される必要もない。よって、建物面積等の審理を尽くさせるため、原判決を破棄し差し戻す。
実務上の射程
司法試験においては、主に民事訴訟法における「裁判上の自白の対象」の論点で重要となる。事実(主要事実)と法律上の意見を区別し、後者には自白の拘束力が及ばないことを論証する際の根拠として用いる。また、強行法規の適用判断において裁判所の職権探知的な側面を示す際にも参照し得る。
事件番号: 昭和37(オ)1330 / 裁判年月日: 昭和38年12月6日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】建物所有を目的とする賃借土地において、土地面積が30坪を超えていても、その地上建物の延べ面積が30坪以下であれば、地代家賃統制令の適用を受けると解すべきである。 第1 事案の概要:上告人は、被上告人から30坪を超える土地を賃借していた。原審は、当該土地が30坪を超えるという事実のみをもって、昭和3…