一 当事者・村の代表者である村長が辞職しても、相手方に通知しない限り、訴訟手続は中断しない。 二 村に対する送達は、村長の自宅においてもすることができる。
一 村長の辞職と訴訟手続の中断 二 村に対する送達を村長の自宅ですることの適否
民訴法58条,民訴法57条,民訴法210条,民訴法169条1項
判旨
法人の代表権が交代した場合であっても、相手方に対する通知がない限り、従前の代表者が依然として代表権を有し、訴訟手続は中断しない。また、法人の代表者に対する送達は、法人の事務所のみならず代表者の住所において行うことも適法である。
問題の所在(論点)
1.代表権が交代したにもかかわらず通知がない場合、訴訟手続の中断が生じるか。2.法人代表者の住所における補充送達は適法か。
規範
訴訟代理権の不消滅(民訴法58条、現124条・37条等参照)及び送達場所(民訴法169条1項、現103条1項等参照)の原則を適用する。代表権の交代を相手方に通知しない限り、訴訟上は従前の代表者が代表権を有し続け、中断は生じない。また、法人代表者への送達は、その住所において補充送達(現106条1項)の形式で行うことも可能である。
重要事実
上告人である村の代表者がDからEに交代した。しかし、村側はこの交代の事実を被上告人(相手方)に対して通知していなかった。第一審判決の正本は、前村長Dの自宅において、Dが不在であったため、事理を弁識する能力のあるDの妻Fに交付された。村側は、代表権の消滅による訴訟手続の中断、及び事務所ではなく住所への送達の不適法を主張し、上告した。
あてはめ
1.代表者の交代にかかわらず相手方への通知がない以上、訴訟上は依然としてDが村の代表権を有する。したがって、受継の問題は生じず、訴訟手続の中断は認められない。2.民事訴訟法の送達規定は、代表者の住所における送達を排除していない。本件では、代表権を有するとみなされるDの住所において、同居人である妻Fに書類を交付したことは、補充送達として適法な要件を満たしている。
結論
代表権交代の通知がない以上、従前の代表者を宛先とする住所地での送達は適法であり、訴訟手続の中断も生じない。
実務上の射程
代表権の変更が登記等で実体上生じていても、訴訟上の通知を怠れば不利益を被るという「訴訟手続の安定」を重視する規範である。答案上は、法人の代表者交代に伴う受継や、送達の効力が争点となる場面で、通知の有無をメルクマールとして引用すべきである。
事件番号: 昭和36(オ)1108 / 裁判年月日: 昭和37年4月6日 / 結論: 棄却
被裏書人欄のおよび裏書の日附欄白地の手形所持人は、右白地を補充しないで権利を行使できる。