土地台帳付属地図に「a番の内」と表示された部分が存在する場合に、該表示か判示のような事情(本判決理由参照)によってなされたものであり、かつ、該部分が土地台帳に一筆として登録された事実が認められないときは、これを法律上一筆の土地とみることはできない。
法律上一筆の土地と認められないとされた事例。
民法86条1項,旧土地台帳規則(明治32年勅令39号)1条,旧土地台帳規則(明治32年勅令39号)2条,旧地租法16条
判旨
土地は本来分離独立したものではないが、人為的に区分され一筆として公認・登録されることで法律上の個別の土地となるため、土地台帳に一筆として登録されていない土地は法律上存在しないと解すべきである。
問題の所在(論点)
土地台帳附属地図上に「a番の内」といった表示がなされているものの、土地台帳上は一筆の土地として登録されていない部分は、独立した一個の土地として法律上存在するといえるか。また、一筆の土地の範囲はどのように確定されるべきか。
規範
土地は本来の性質上、分離独立したものではないが、人為的に区別し、各独立した一体として公認されていたものを一筆とし、これをもって土地の単位とする。したがって、一筆の土地として土地台帳上に登録されていない部分は、独立した一つの土地として法律上に存在するものとは認められない。
重要事実
上告人らの前主Dは、所有するa番の土地のうち、道路で隔てられた一部を「a番の内」と地図上に表示させる誤謬訂正を行った。その後、被上告人が上告人らからa番およびb番のc山林を買い受け所有権移転登記を完了した。一方で上告人らは、当該「a番の内」と表示されていた地域等を、a番とは別個の独立した土地であるとして新たに所有権保存登記等を行ったため、被上告人がそれら登記の抹消を求めた。
事件番号: 昭和37(オ)378 / 裁判年月日: 昭和37年11月22日 / 結論: 棄却
請求の目的たる建物の敷地そのものに変りがなく、単に地番の表示の誤を訂正したにすぎない場合には、請求原因にはなんらの変更がないというべきである。
あてはめ
本件において、「a番の内」という表示は、地図上道路と隔てられていて別地番の土地と見誤られるおそれがあったため、便宜上a番の範囲内であることを示すために付されたものに過ぎない。売買契約当時、当該部分は土地台帳上に一筆の土地として登録されておらず、独立の地番を有していなかった。したがって、当該部分は独立した土地ではなくa番の一部を構成するものと解される。被上告人はa番全体を買い受けており、その範囲には当該地域も含まれるため、上告人らによる別個の土地としての登記は実体法上の権利に基づかないものといえる。
結論
「a番の内」と表示された部分は、一筆として登録されていない以上法律上独立した土地とはいえず、a番の一部としてその所有権は被上告人に帰属する。したがって、上告人らは当該登記を抹消すべき義務を負う。
実務上の射程
物権の客体としての「一筆の土地」の画定基準(登記・登録による特定)を示す基本判例である。答案上は、土地の一部譲渡や分筆前の処分が問題となる場面で、土地の個数の数え方や公示制度との関連を論じる際の規範として活用できる。地図上の表示よりも土地台帳の登録を重視する実務上の運用を裏付けるものである。
事件番号: 昭和34(オ)726 / 裁判年月日: 昭和37年9月14日 / 結論: 破棄差戻
丙を代理人として、甲の先代から不動産を買い受けた乙が、丙にその所有権を移転する意思がないにも拘らず、たまたま右の売買契約書に買主名義が丙となつていた関係上、丙をして甲に対する所有権移転登記手続請求の訴を提起させ、その勝訴の確定判決に基づいて甲より丙に所有権移転登記を受けさせた場合には、民法第九四条第二項の法意に照し、乙…
事件番号: 昭和32(オ)356 / 裁判年月日: 昭和33年7月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が係争地の具体的地域を特定し、祖先伝来の所有地であると主張して所有権確認を求めている場合、当該土地につき請求を認容することは、処分権主義に反しない。 第1 事案の概要:被上告人は、第一審から本件係争地の具体的地域を明らかにしていた。その上で、原審において、当該土地は祖先伝来の所有地であると主…
事件番号: 昭和38(オ)889 / 裁判年月日: 昭和41年12月23日 / 結論: 破棄差戻
自作農創設特別措置法第三〇条に基づく未墾地買収処分により国がその所有権を取得した場合でも、その所有権の取得については、民法第一七七条が適用される。