内縁関係解消に基く慰藉料が一五万円をもつて相当とされた事例。
判旨
内縁関係の一方的かつ信義誠実に著しく欠ける解消は、不法行為を構成し、慰謝料支払義務を負わせる。内縁を正当な理由なく破棄した者は、相手方が被った精神的苦痛を賠償すべき責任がある。
問題の所在(論点)
内縁関係の一方的な解消が不法行為を構成するか、およびその解消が「信義誠実に欠ける」と認められる場合に慰謝料請求が可能か。
規範
内縁関係は、婚姻に準ずる関係として保護されるべきものである。したがって、正当な理由なく、一方的意思によって内縁関係を解消することは、信義誠実の原則に反するものとして不法行為(民法709条)を構成し、相手方に対してその損害(慰謝料等)を賠償する責任を負う。
重要事実
上告人と被上告人は内縁関係にあったが、上告人は一方的な意思によってこの関係を解消した。その解消の態様は、事実関係の推移に照らして著しく信義誠実に欠けるものであった。第一審および原審は、これらの事実に基づき、上告人に対し慰謝料15万円の支払いを命じたため、これを不服とした上告人が上告した。
あてはめ
本件において、上告人による内縁の解消は一方的な意思に基づくものであり、その経緯が著しく信義誠実に欠けると評価される。このような態様による関係の断絶は、内縁という法的保護に値する共同生活の利益を不当に侵害するものといえる。したがって、解消に至る事実経過に基づき、慰謝料15万円の損害賠償を認めた判断は正当である。
結論
内縁関係を著しく信義に反する形で一方的に解消した者は、不法行為に基づき慰謝料支払義務を負う。本件上告は棄却される。
実務上の射程
内縁の不当破棄に関するリーディングケース。答案では「内縁の準婚的性質」を根拠に、不法行為の成立要件(違法性)の文脈で本判例のロジックを用いる。特に、解消の理由に正当性がないことや、解消の仕方が信義則に反することを摘示する際に有効である。
事件番号: 昭和34(オ)565 / 裁判年月日: 昭和37年3月30日 / 結論: 棄却
不法行為の責任を判定するためにはいかなる権利が侵害されたかの権利の種別を明示することを要しない。