判旨
韓国籍を有する外国人同士の内縁関係不当破棄に基づく損害賠償請求について、原因たる事実の発生した地が日本である場合には、法例11条1項(現通則法17条)に基づき、行為地法である日本法を適用すべきである。
問題の所在(論点)
外国人同士の内縁関係破棄に基づく不法行為責任の成否を判断するにあたり、準拠法として当事者の本国法(韓国法)を適用すべきか、あるいは不法行為地法(日本法)を適用すべきか。
規範
不法行為によって生ずる債権の成立及び効力は、原則として、その原因たる事実が発生した地の法律(不法行為地法)による(法例11条1項、現通則法17条本文)。内縁関係の不当破棄が不法行為を構成する場合、その準拠法も同様に不法行為地法に従う。
重要事実
韓国籍の外国人である上告人と被上告人は、結婚式を挙げ内縁関係に入った。しかし、上告人は婚姻前から別の女性Eと交際していた事実を秘匿しており、同棲後もEとの関係を継続して外泊を繰り返し、被上告人に対し愛情を示さなかった。上告人はEを伴って同居することを提案し、被上告人が拒絶すると「別れてもEと別れない」と言明した。これにより内縁関係が不当に破棄されたとして、被上告人が日本法に基づき不法行為の損害賠償を求めた。
あてはめ
被上告人の請求は、上告人による内縁関係破棄という不法行為を原因とするものである。上告人は、婚約時の事実秘匿、交際継続、外泊、不当な要求(Eとの同居提案)といった行為により、不法に内縁関係を破棄したものと評価される。本件において、これら一連の不法行為の原因たる事実は日本国内で発生している。したがって、法例11条1項(当時)に基づき、原因たる事実の発生地である日本法を適用して責任の有無を判断するのが正当である。
結論
本件不法行為の準拠法は日本法であり、上告人の行為を不法行為と認めて賠償責任を肯定した原審の判断は妥当である。上告を棄却する。
実務上の射程
国際的な内縁関係に関する紛争であっても、法律上の離婚(身分法上の問題)ではなく、不当破棄という「不法行為」の側面から構成する場合には、原因事実発生地法(通則法17条)が適用されることを示した射程を持つ。答案上は、不法行為の成否が問題となる文脈で、身分法ではなく不法行為の抵触規定を適用する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和39(オ)1187 / 裁判年月日: 昭和40年3月18日 / 結論: 棄却
信仰の相異を主たる理由として内縁関係が破棄されたときでも、判示および原判決理由説示の事実関係のもとにおいては、破棄について正当な事由があるとはいえない。