第二審で第一審判決事実摘示のとおり第一審口頭弁論の結果を陳述した場合、たとい第一審において主張された事実でも、第一審判決事実摘示に記載せられていないかぎり、第二審の審理の対象とならない。
第一審判決事実摘示に基づく口頭弁論結果陳述と第二審の審理の対象。
民訴法377条2項
判旨
建物建築請負における所有権の原始取得は、請負人が自ら供給した資材が建物の大部分を占めた場合に限られる。また、第一審判決の事実摘示に記載のない事実は、第二審において別途陳述されない限り、主張があったものとはみなされない。
問題の所在(論点)
1. 建築請負契約における建物の所有権原始取得の帰属要件。2. 第一審判決の事実摘示にない事実が、第二審での「第一審口頭弁論結果の陳述」によって主張されたとみなされるか。
規範
建物建築請負において、請負人が建物の所有権を原始的に取得するのは、請負人がその建築につき自ら供給した資材が当該建物の大部分を占めた場合に限られる。また、訴訟上の主張の存否については、第一審判決の事実摘示に記載されていない事実は、たとえ第一審の訴状等に記載があっても、第二審において明示的な陳述がない限り、第二審における主張とは認められない。
重要事実
再審原告は、建物建築請負人であるD社が建物完成と同時に所有権を取得したと主張したが、上告審判決はこの主張を排斥した。再審原告は、上告審判決には「請負人が原則として所有権を取得する」という自らの主張に対する判断遺脱があると主張した。また、第一審で認定され勝訴の基礎となった事実が、第二審における第一審口頭弁論結果の陳述により維持されていると解すべきところ、これを否定した上告審には判断遺脱があるとして再審を申し立てた。
事件番号: 昭和35(オ)848 / 裁判年月日: 昭和37年11月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】請負契約により新築された建物の所有権帰属に関し、請負人が代金未払の状態で建物を注文者に引き渡した場合、建物の所有権は注文者に移転する。また、実態のない所有権移転登記が通謀虚偽表示に該当する場合、当該登記に基づく権利主張は認められない。 第1 事案の概要:請負人EおよびFは、注文者Dから本件建物の建…
あてはめ
1. 所有権取得について、判決は「請負人が資材の大部分を供給した」という特別の事情が必要であるとの見解に立ち、再審原告が控訴審で当該事実を主張していない以上、原始取得の主張を排斥した判断に過誤はない。2. 主張の存否について、判決は、第一審判決の事実摘示に記載のない事実は、訴状等に記載があり第一審で認定されていたとしても、第二審で特段の陳述がない限り主張されたとはいえないとの見解を示しており、判断遺脱は認められない。
結論
建築請負人が資材の大部分を供給した場合に限り所有権を原始取得する。また、控訴審で主張されなかった事実は判断の対象とならない。本件再審の訴えは棄却される。
実務上の射程
建築請負における所有権帰属の判断基準(材料供給者基準)を示す重要判例である。答案上は、特約がない場合の原則的帰属を論ずる際に「大部分の資材をどちらが供給したか」を検討する指標として用いる。また、民事訴訟法上の主張の特定や控訴審での主張の更新についても示唆を与える。
事件番号: 昭和38(オ)1368 / 裁判年月日: 昭和39年7月3日 / 結論: 棄却
所有権にもとづく家屋鋭渡請求訴訟の確定判決において、右所有権の存否が判断されていても、右判断は、理由中の判断にすぎず、所有権の存否について既判力を生じない。
事件番号: 昭和28(オ)1170 / 裁判年月日: 昭和31年9月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】作成名義人の否認がある文書について、裁判所が作成名義人以外の者によって作成されたものであると認定した上で、その成立の真正を否定し証拠力を排斥することは適法である。 第1 事案の概要:上告人らが証拠として提出した家屋売渡証(乙第6号証および乙第7号証)について、その作成名義人とされているAおよびDは…
事件番号: 昭和32(ヤ)21 / 裁判年月日: 昭和32年12月6日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審の訴えにおいて、訴状に記載された事由が民事訴訟法所定の再審事由(旧420条1項各号、現338条1項各号)のいずれにも該当しない場合には、当該再審の訴えは不適法として却下される。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所の確定判決に対し、「再審の上訴」と題する書面を提出して再審の訴えを提起した。…
事件番号: 昭和37(オ)181 / 裁判年月日: 昭和38年7月11日 / 結論: 棄却
民訴法第四二〇条第一項但書の「当事者」とは、当事者の訴訟代理人を含むものと解すべきである。