貸金を目的とする準消費貸借契約がなされた場合に、利息弁済期の変更、新保証人、新担保の設定があつたからといつて直ちにこれを更改であるといわねばならない理はない。
準消費貸借と更改。
民法513条,民法588条
判旨
債務の態容に変更が加えられた場合であっても、当事者間に旧債務を消滅させ新債務を成立させる特段の意思がない限り、直ちに債務の要素の変更(更改)があったと解することはできない。
問題の所在(論点)
利息・弁済期の変更、保証の追加、担保設定、あるいは併存する他債務の性質変更を伴う合意がなされた場合に、当該債務について「債務の要素」の変更(民法513条)があったとして、更改の成立を認めることができるか。
規範
債務の態容に一定の変更が加えられたとしても、当事者間において、特に旧債務を消滅させ、これに代えて新債務を成立させるという合意(更改の意思)が認められない限り、債務の同一性は失われず、更改(民法513条)の成立を認めることはできない。
重要事実
債権者と債務者との間で、既存の100万円の貸付金債務を含む複数の債務について準消費貸借契約が締結された。この際、利息や弁済期の変更が行われ、さらに新たな保証人の追加および担保権の設定がなされた。上告人は、これらの態容変更や、他の債務における目的の変更(株券返還債務から金銭債務への変更)を理由に、本件100万円の債務についても要素の変更があり、更改によって旧債務は消滅したと主張した。
あてはめ
本件において、原審は100万円の貸付金債務を消滅させる旨の合意がなされた事実を否定している。利息や弁済期の変更、新保証人の加入、担保権の設定という事実は、債務の態容に修正を加えるものにすぎず、これらがあるからといって直ちに更改の意思を推認することはできない。また、他の口の債務において目的の変更(株券から金銭へ)があったとしても、本件債務自体が他の債務と併合されて同一性を失ったと認められない以上、本件債務に更改の影響は及ばない。したがって、当事者の意思として旧債務を消滅させる目的が認められない本件では、更改は成立していないと評価される。
結論
本件のような態容の変更のみでは債務の同一性は失われず、更改は成立しない。旧債務は存続する。
実務上の射程
準消費貸借と更改の区別において、実務上は「旧債務を消滅させる意思」の有無が決定的な基準となる。利息・期限・担保等の附随的な変更があっても原則として同一性は維持されるため、更改を主張する側は消滅合意の存在を具体的に立証する必要がある。答案上は、債務の重要な部分に変更があっても、消滅の意思を欠けば同一性が維持される(随伴性等が維持される)根拠として引用できる。
事件番号: 昭和32(オ)907 / 裁判年月日: 昭和35年10月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】身元保証人の損害賠償責任の範囲を定めるに当たっては、被用者の監督に関する使用者の過失の態様・程度その他の諸般の事情を総合的に斟酌すべきであり、裁判所の合理的な裁量が認められる。 第1 事案の概要:上告人は被上告人の被用者についての身元保証人であった。被用者が被上告人に損害を与えたため、被上告人が上…