訴提起による時効中断の効力発生の時期は、訴状受理の時であつて、訴状送達の時ではない。
一 訴提起による時効中断の効力発生の時期 二 上告審において職権調査の結果原審と異る事実認定のもとに適法な訴状送達があつたと判断した事例
民法147条,民訴法235条,民訴法223条
判旨
訴状及び期日呼出状が被告本人の名義で受領され、送達報告書に受領印が押捺されている場合、特段の事情がない限り、当該送達場所を住所とした送達は適法・有効である。また、裁判上の請求は、訴えの提起によって時効中断の効力を生じる。
問題の所在(論点)
1. 送達報告書に受領印がある状況下で、当該送達を適法と認めることができるか(送達の適法性)。 2. 訴えの提起による時効中断効の有無(裁判上の請求の効力発生時期)。
規範
1. 送達の効力について、送達報告書に受領者の記名及び押捺があり、送達時に特段の支障の申立てがない場合は、送達場所を住所地と認めることができ、適法な送達としての効力を有する。 2. 時効の中断(現・完成猶予及び更新)について、裁判上の請求は訴えの提起によってその効力を生じる。
重要事実
上告人(被告)に対し、本件訴状及び第一審の口頭弁論期日呼出状が特別送達された。送達報告書には上告人本人名義の記名と印影があり、担当した郵便集配人も送達時に特段の故障の申立てはなかったと供述していた。しかし、上告人は送達が不適法無効であると主張し、原審も送達の不適法を前提とした判断を示していたため、最高裁が職権で送達の有効性を再判断した事案である。
あてはめ
1. 送達報告書の受領者欄に被告本人の記名があり、その名下に明瞭な印影が押捺されている事実に加え、郵便集配人の供述から送達時に何ら故障の申立てがなかったことが認められる。これらの事実に照らせば、被告は送達当時に当該場所に住所を有していたと推認される。したがって、原審の認定は不合理であり、本件送達は適法有効である。 2. 適法な送達を前提とすれば、民法上の「裁判上の請求」として、訴えの提起によって時効中断の効力が発生したと判断した原審の結論は正当である。
結論
本件送達は適法であり、訴えの提起により時効中断の効力が生じるため、上告を棄却する。
実務上の射程
送達の適否が争点となる実務において、送達報告書の形式的な備わり(記名・押捺)が強力な証拠資料となることを示している。答案作成上は、訴状提出による時効中断の効力発生時期を認める際の基礎的な根拠として、また送達の適法性が前提となる手続的正当性の議論において参照すべき判例である。
事件番号: 昭和31(オ)239 / 裁判年月日: 昭和32年2月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】郵便送達報告書に受領者の署名・押印があり、かつその印影が他の適式な送達報告書のものと同一である場合には、反証のない限り、呼出状の送達は適式になされたものと認められる。 第1 事案の概要:上告人は原審口頭弁論期日の呼出状が適式に送達されていないと主張した。記録上の郵便送達報告書には、上告人の住所にお…