判旨
行政処分の先行段階である買収計画に対する異議申立の却下決定通知が不適法であっても、その後の買収処分が当然無効になるわけではなく、取消原因にとどまる。また、受領拒絶は令書の交付ができない場合に該当し、公告をもって代えることができる。
問題の所在(論点)
1. 買収計画に対する異議申立却下決定の通知不備という先行手続の瑕疵は、後続の買収処分を当然無効ならしめるか。2. 受取人が令書の受領を拒絶した場合、公告による交付代行が認められる「交付をすることができないとき」に該当するか。
規範
行政処分の先行手続における手続的瑕疵が、後続の処分を当然無効ならしめるためには、当該瑕疵が重大かつ明白であることを要する。通知の不備などは原則として取消原因にすぎず、出訴期間経過後は争うことができない。また、送達を受けるべき者が受領を拒んだ場合は、法令にいう「交付をすることができないとき」に該当し、公告等の代替手段による手続も適法となり得る。
重要事実
上告人は、未墾地買収計画に対する異議申立の却下決定通知が適法に交付されなかったと主張し、後続の買収処分の無効を理由に所有権移転登記の抹消を求めた。また、上告人の母が買収令書の受領を拒絶したため、行政側は令書の交付に代えて公告の手続を行った。上告人はこれらの手続瑕疵により買収処分は無効であると争った。
あてはめ
1. 却下決定通知が適法に交付されなかったとしても、その瑕疵が直ちに買収処分自体に重大かつ明白な瑕疵をもたらすとはいえず、取消原因にすぎない。ゆえに、買収処分に対する出訴期間を経過した後は、当該瑕疵を理由に処分の効力を争うことはできない。2. 上告人の母が一端出頭しながら令書の受取りを拒んだ事実は、実質的に交付が不可能な状態であり、自作農創設特別措置法上の「交付をすることができないとき」にあたる。したがって、公告による手続は適法である。
結論
本件買収処分に当然無効と言いうる重大明白な瑕疵はなく、また令書の交付手続も適法であるため、上告人の請求は棄却される。
事件番号: 昭和31(オ)956 / 裁判年月日: 昭和35年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特定の立木を代物弁済として提供する代理権や登記費用の負担特約を締結する権限があるからといって、当然にその土地自体の所有権を移転させる代理権まで認められるものではない。 第1 事案の概要:上告人らは、被上告人の代理人Dとの間で、本件山林の立木を債務の代物弁済として供する旨の合意をし、立木の所有権保存…
実務上の射程
行政手続の瑕疵と処分の効力(無効・取消しの区別)に関する判断枠組みを示す。特に先行行為の瑕疵が後続行為に承継されるか、あるいは独立した無効事由となるかの境界において、通知の不備程度では無効とはならないとする実務上の準則として機能する。
事件番号: 昭和45(オ)890 / 裁判年月日: 昭和46年2月25日 / 結論: 棄却
抵当権の実行のための競売開始決定が所有者に対して送達されないかしがあつても、競落許可決定が確定すれば、右かしを理由として同決定の無効を主張することは許されない。
事件番号: 昭和34(オ)70 / 裁判年月日: 昭和35年4月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】登記申請手続に瑕疵がある登記であっても、それが現在の実体的な権利関係に合致するものである限り、当該登記は有効であり、登記義務者はその抹消を請求することができない。 第1 事案の概要:本件において、上告人と被上告人の間で売買が行われ、それに基づき所有権移転登記がなされた。上告人は、当該登記の申請手続…
事件番号: 昭和33(オ)705 / 裁判年月日: 昭和36年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買代金の支払方法に関する契約において、買主が残代金の大部分を期日に弁済しなかったことにより、担保の目的物たる山林の所有権が確定的に売主に帰属するとした原審の判断を適法として維持した。 第1 事案の概要:上告人(買主)と被上告人(売主)は、土地の売買契約を締結したが、その代金支払方法について、残代…