弁論の再開を命ずると否とは裁判所の専権事項であつて、裁判所が当事者の弁論再開の申請を採用しなかつたため、新な証拠の提出ができなかつたとしても、証拠提出を不当に制限したことにはならない。
弁論再開申請の不採用は証拠提出の不当制限になるか。
民訴法133条,民訴法137条
判旨
終結した弁論の再開は裁判所の専権事項であり、当事者による弁論再開の申請は裁判所の職権発動を促すものにすぎないため、これを採用しなくても違法ではない。
問題の所在(論点)
口頭弁論終結後になされた当事者からの弁論再開申請に対し、裁判所がこれを採用せずに判決を言い渡すことは、裁判所の証拠提出制限にあたり違法となるか。
規範
民事訴訟法153条(旧133条)に基づき、終結した弁論の再開を命ずるか否かは裁判所の専権事項(職権事項)である。したがって、当事者による再開申請は裁判所の職権発動を促す意味しか持たず、これに対する不採用の判断は裁判所の自由裁量に委ねられる。
重要事実
控訴審において、第1回から第3回の口頭弁論期日が延期された後、第4回期日に控訴代理人両名が不出頭であった。裁判所は控訴状が陳述されたものとみなし、出頭した被控訴代理人の主張等を聞いた上で弁論を終結した。その直後、控訴人側から弁論再開の申請および証人尋問の申請がなされたが、原審はこれらを採用せずに判決を言い渡した。控訴人側は、この措置が証拠提出の不当な制限であり違法であるとして上告した。
あてはめ
弁論の再開は裁判所の専権事項であり、当事者による再開の申請は裁判所に対してその職権発動を求めるものにとどまる。本件において、原審が第4回口頭弁論期日で適法に弁論を終結させた以上、その後に提出された再開申請や証拠調べ(代表者本人の尋問)申請を退けたとしても、裁判所が証拠提出を不当に制限したことにはならない。したがって、原審の措置に訴訟法上の違法は認められない。
結論
弁論再開の申請を採用しなかった原審の措置は適法であり、上告を棄却する。
実務上の射程
弁論再開が裁判所の職権事項であることを明示した基本判例である。答案上は、弁論終結後の攻撃防御方法の提出や再開申請の拒絶が争点となった際、裁判所の広い裁量を肯定する根拠として活用する。ただし、適正手続や審理不尽の観点から再開しないことが著しく不当な場合には例外があり得るが、原則としては本判例の職権性を維持する。
事件番号: 昭和32(オ)14 / 裁判年月日: 昭和33年5月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】一旦終結した弁論を再開するか否かは裁判所の職権による裁量事項であり、当事者は権利として再開を請求し得るものではない。したがって、裁判所は当事者からの弁論再開申請に対し、特段の裁判(諾否の応答)をする必要はない。 第1 事案の概要:上告人は、原審において弁論が一旦終結した後に、弁論再開の申立ておよび…