特許権の範囲確認審判請求の利益の有無は、審決のときを基準とすべきである。
特許権の範囲確認審判請求の利益の有無に関する判断の基準時。
旧特許法84条
判旨
特許権の範囲確認審判において、請求人は審判請求時に利益を有していなくても、審決時までに利益を有するに至れば、審判請求は適法として維持される。
問題の所在(論点)
特許権の範囲確認審判において、請求の利益はいつの時点で存在しなければならないか。請求時に欠けていても、審決時までに具備すれば足りるか。
規範
特許権の範囲確認審判請求の利益の有無については、単に請求時のみを基準とすべきではない。請求時に利益を有していなかったとしても、審決時までに利益を有するに至ったときは、審判請求を却下することなく、特許権の範囲について審決すべきである。
重要事実
被上告人(請求人)は、特定の車軸受((イ)号図面)が上告人(特許権者)の特許権の範囲に属しない旨の確認審判を請求した。上告人は、被上告人が請求当時に対象製品を製作しておらず、審判請求の利益を欠くと主張したが、原審は被上告人が昭和26、27年頃に当該製品を製造していた事実、および図面通りの製作を指示していた事実を認定した。上告人はこれを不服として、請求時における利益の欠如を理由に上告した。
あてはめ
特許制度における権利範囲の明確化という審判の目的から、利益の判定時期は弾力的に解される。本件において、被上告人は審判請求の前後を含む時期において対象製品を実際に製造し、あるいは製作の意思を持って指示を行っていた事実が認められる。たとえ厳密な請求時点において具体的利益の存否に疑義があったとしても、審決に至るまでの過程で製造等の事実が認められる以上、審判請求を却下すべき理由はない。
結論
審判請求の利益は審決時までに具備すれば足りるため、本件審決は適法である。
実務上の射程
行政訴訟における処分性や訴えの利益の判断時期と同様、事後的救済の観点から審決時までの事情を考慮できるとする判断であり、現行の判定制度(特許法71条)等における利害関係の解釈においても参考となる。
事件番号: 昭和37(オ)1167 / 裁判年月日: 昭和38年10月18日 / 結論: 棄却
実用新案の権利範囲確認審判請求の被請求人が当該製品のカタログを印刷配布した事実から販売の意図を推測される以上、製作の具体的計画を有していたかどうかにかかわらず、審判請求の利益があると解すべきである。
事件番号: 昭和26(オ)745 / 裁判年月日: 昭和28年10月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特許審決取消訴訟において、審判過程で主張されなかった事実や審決の基礎とされなかった事実を、訴訟段階で新たに主張し、裁判所がこれを判決の基礎として採用することは違法ではない。 第1 事案の概要:上告人(発明者)は、自らが発明した製粉機が当時の特許法1条にいう「新規ナル工業的発明」に該当すると主張して…
事件番号: 昭和33(オ)567 / 裁判年月日: 昭和35年12月20日 / 結論: 棄却
一 商標無効審判抗告審判の審決後の事実であつても、商標の無効かどうかの判断の資料になり得るものは、審決に対する訴訟の裁判で判断の資料にならないものではない。 二 商標法による審決に対する訴訟で、当事者は、審判における争点について、審判に際し主張しなかつた新たな事実を主張することができる。 三 旧商標法(大正10年法律第…