家屋の共有者総会によつて右一部の者に共有家屋賃貸の権限が授与され、これに基づき右一部の者が賃貸人となつた場合の賃貸借の終了を原因とする家屋明渡訴訟においては、右一部の者に訴訟追行権がある。
家屋共有者中、一部の者からする家屋明渡訴訟に訴訟追行権ありとされた事例。
民訴法47条
判旨
建物の共有者から賃料取立や明渡交渉等の広範な権限を授与され、自ら賃貸人となって賃貸借契約を締結した者は、実体法上の権限に基づき、賃借人に対し賃貸借終了を原因とする明渡訴訟を提起し、裁判上の和解をなす訴訟追行権を有する。
問題の所在(論点)
共有者から管理運営の委託を受けた者が、自ら賃貸人となって契約を締結した場合に、当該契約に基づく明渡請求訴訟を提起し、裁判上の和解を行う訴訟追行権を有するか。任意的訴訟担当の禁止との抵触が問題となる。
規範
実体法上の管理処分権限に基づき、自ら契約の当事者(賃貸人)となった者は、当該契約から生じる紛争について、自己の名で訴訟を追行し、裁判上の和解を行う資格を有する。これは選定当事者等の訴訟法上の制度に依らずとも、実体法上の正当な権限に基づく適法な訴訟追行として認められる。
重要事実
本件家屋の共有者総会において役員に選任された被上告人両名は、共有者らから賃料取立、明渡交渉、およびその目的達成のための適宜の方法をとる広範な権限を授与された。被上告人両名はこの権限に基づき、共同賃貸人として上告人との間で賃貸借契約を締結し、公正証書を作成した。その後、賃料不履行を理由に賃貸借契約を解除し、上告人に対し建物明渡訴訟を提起して裁判上の和解を成立させた。これに対し、上告人は被上告人らに訴訟追行権(選定当事者としての資格等)が欠如していると主張して、請求異議の訴えを提起した。
あてはめ
被上告人両名は、共有者総会での選任により、賃料取立や明渡交渉を含む包括的な実体法上の管理権限を授与されている。この権限に基づき、被上告人らは単なる代理人ではなく、自ら「共同賃貸人」という契約当事者の地位に立って上告人と賃貸借契約を締結している。そうであれば、契約の当事者として賃料不履行による解除を主張し、明渡訴訟の原告となることは、実体法上の権限に基づく当然の帰結である。したがって、選定当事者の要件を充たすか否かにかかわらず、被上告人らには適法な訴訟追行権および和解をなす資格が認められる。
結論
被上告人両名は実体法上の権限に基づく賃貸人として訴訟追行権を有するため、本件裁判上の和解は有効である。上告人の請求は棄却される。
実務上の射程
本判決は、実体法上の管理権限を有する者が自ら当事者として契約した場合には、訴訟法上の「任意的訴訟担当」の制限(原則禁止)を潜脱するものではないことを示唆している。答案上は、組合の理事やマンション管理組合の代表者が自ら契約主体となった場合の訴訟担当の可否を論じる際、実体法上の権利関係と訴訟追行権が結びついていることを示す根拠として活用できる。
事件番号: 昭和47(オ)590 / 裁判年月日: 昭和49年10月24日 / 結論: その他
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