書証の信ぴよう性を否定する場合に、その作成者を尋問しその他特別の証拠調を必要とするものではない。
書証の信ぴよう性を否定する場合と作成者の尋問の要否。
民訴法185条第3章第4節
判旨
債権譲渡のような形式で債権を取得したと主張する場合、その前提となる原債権が当初から存在しないときは、債権者の交替による債権取得を認めることはできない。
問題の所在(論点)
債権譲渡等の形式で債権を取得したと主張する場合において、譲渡の対象とされるべき原債権が当初から存在しなかったとき、債権の取得は認められるか。
規範
特定の法律関係(債権譲渡等)を前提として権利を取得したと主張する場合、その権利発生の基礎となる実体的権利が当初から存在しないときは、当事者の合意があったとしても、当該権利の取得は認められない。
重要事実
上告人は、訴外Dが被上告人に対して有していたとされる債権について、複合契約等の性質に基づき、債権者の交替によって自身が債権者になったと主張して、被上告人に支払いを求めた。しかし、原審(事実審)の認定によれば、そもそも訴外Dの被上告人に対する債権は当初から存在していなかった。
あてはめ
上告人は本件債権を取得したと主張するが、そのためには債権者の交替により債権が訴外Dから上告人に移転することが前提となる。しかし、原審が認定した事実に照らせば、訴外Dには被上告人に対する債権が当初から存在しなかった。したがって、譲渡の対象となるべき実体がない以上、債権者の交替によって上告人が債権を取得する余地はない。
結論
原債権が存在しない以上、債権の取得は認められない。上告人の主張は前提を欠くものであり、上告を棄却する。
実務上の射程
債権譲渡や契約上の地位の移転を主張する際の基本原則を示す。答案上は、債権の有効な発生が譲渡の前提要件であることを確認する文脈で使用する。また、事実認定における証拠の取捨選択が事実審の裁量に属することを確認する際にも引用し得る。
事件番号: 昭和31(オ)891 / 裁判年月日: 昭和32年10月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】金員の現実の支払という主要事実が認められない場合には、受領者に代理権があるか否かといった法的論点を判断することなく、弁済の抗弁を排斥することができる。 第1 事案の概要:上告人は、債権者を代理する権限があると主張するDに対し、特定の日に金員を現実に支払ったとして弁済の抗弁を主張した。しかし、原審は…