判旨
原審において勝訴している当事者は、上告を申し立てる法律上の利益を欠き、その上告は不適法として却下される。
問題の所在(論点)
原審で勝訴した当事者に、同一の相手方に対する上告を申し立てる法律上の利益(上訴の利益)が認められるか。また、原審で申請していない手続上の瑕疵を上告理由とすることができるか。
規範
上訴の利益(法律上の利益)は、不服申立てを認める必要性がある場合に認められる。原審で勝訴した当事者は、特段の事情がない限り、それ以上に有利な判決を得る必要がないため、上訴を申し立てる法律上の利益を欠く。
重要事実
上告人は、被上告人B1及びB2に対し訴えを提起した。原審において、上告人は被上告人B1に対する関係では勝訴したが、被上告人B2に対する関係では不服があるとして、両名を被上告人として上告を申し立てた。また、上告人は原審において領収証提出命令を申請したと主張して上告理由とした。
あてはめ
上告人は、被上告人B1との関係では原審において既に勝訴している。そのため、上告を申し立てて判決内容を変更すべき法律上の利益がないといえる。一方、被上告人B2に対する上告については、記録上、上告人が原審で領収証提出命令を申請した形跡は認められない。したがって、未申請の手続を理由に不服を唱えることはできず、その他の主張も証拠の取捨や事実認定の非難にすぎない。
結論
被上告人B1に対する上告は上告の利益を欠き却下、被上告人B2に対する上告は理由がないため棄却される。
実務上の射程
上訴の利益に関する「形式的不服説(判決主文と申立てを比較して不服の有無を判断する考え方)」を前提とした基本的な判断事例である。勝訴した当事者からの上訴が原則として許されないことを明示しており、訴訟要件の検討における標準的な準拠枠組みとなる。
事件番号: 昭和34(オ)976 / 裁判年月日: 昭和35年11月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】債権譲渡が旧信託法11条(現信託法10条)に規定する訴訟信託に該当し無効となるか否かは、事実認定の問題として是認されるべきである。特段の事情がない限り、原審の認定した債務者の特定および信託法違反の不存在に関する判断は維持される。 第1 事案の概要:上告人は、Dから被上告人へなされた債権譲渡が旧信託…