判旨
商事売買における代金支払遅延に対し、日歩20銭(年利73%)の遅延損害金を付す特約は、公序良俗に反する程度に過酷なものとは認められず、有効である。
問題の所在(論点)
商事売買における年利73%に相当する高率の遅延損害金特約が、公序良俗に反して無効となるか。
規範
契約自由の原則に基づき、当事者間で合意された遅延損害金の特約は、公序良俗(民法90条)に反するほど著しく不当・過酷な内容でない限り、その効力が認められる。
重要事実
商事売買において、買主(上告人)が代金の支払を怠った場合、残代金に対し100円につき日歩20銭(年利73%)の遅延損害金を付して支払うべき旨の特約がなされた。また、売主(被上告人)は買主の承諾を得た上で対象の自動車を引き揚げ、売却した。
あてはめ
本件は商事売買であることが明らかであり、当事者間の自由な合意が尊重されるべき取引性質を有する。日歩20銭という利率は、それ自体としては高率であるが、本件の取引背景や商事売買の性質に鑑みれば、買主にとって公序良俗に反するほど過酷な負担を強いるものとは評価できない。また、車両の引揚げ・売却についても買主の承諾があるため、不当性はない。
結論
本件遅延損害金特約は有効であり、買主は当該特約に基づく損害金を支払う義務を負う。
実務上の射程
利息制限法が適用されない、または上限を超えない範囲(本件当時は遅延損害金について寛容であった)において、商事取引における高率な損害金特約の有効性を肯定した事例である。現在の実務では消費者契約法や利息制限法の修正を受けるが、公序良俗違反の判断基準として、取引の性質や当事者の承諾の有無が重視されることを示している。
事件番号: 昭和27(オ)976 / 裁判年月日: 昭和29年11月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】統制違反による売買の無効を主張するには、具体的な違反事実の主張立証が必要であり、また弁論期日に不出頭の当事者に対しても告知された判決言渡期日は有効である。 第1 事案の概要:化学製品の売買代金請求訴訟において、被告(上告人)は、本件商品が統制物資であることを理由に、売買取引から適法に代金債権は発生…