判決が口頭弁論終結の日から約四年を徒過した後に言い渡されたという違法は、上告適法の理由とはならない。
判決言渡期日の遅延と上告理由。
民訴法190条,民訴法394条
判旨
判決の言渡しが口頭弁論終結から相当期間遅延したとしても、それだけでは直ちに絶対的上告理由や判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反には当たらない。
問題の所在(論点)
口頭弁論終結から判決言渡しまでの著しい期間の経過が、民事訴訟法上の判決破棄事由としての法令違反に該当するか。
規範
判決の言渡しは、事件の繁雑等の特別の事情がない限り、口頭弁論終結の日から相当期間内(旧民訴法190条1項では2週間内)になすべきであり、著しい遅延は同条の趣旨に反する。しかし、かかる期間の徒過は、それのみでは民訴法上の絶対的上告理由(現行312条2項各号相当)に該当せず、かつ当然に判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反(現行312条1項相当)ともいえない。
重要事実
原審において、口頭弁論が終結した日から約4年という長期間が経過した後に判決の言渡しがなされた。上告人は、このような著しい遅延は直接口頭主義の趣旨に違背し、判決を破棄すべき違法があると主張して上告した。あわせて、自作農創設特別措置法の違憲性や、原審の事実認定(錯誤の有無等)についても争われた。
事件番号: 昭和24(オ)129 / 裁判年月日: 昭和25年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政庁が買収計画への異議に対し法定期間内に決定を行わず、事実上計画から除外したとしても、正式な決定がない限り買収しないことが法律上確定したとはいえず、再度同一の買収計画を立てることは直ちに違法とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、昭和22年3月になされた農地買収計画に対し異議を申し立てた。農…
あてはめ
判決言渡しが遅延することは法が予定するところではなく、望ましくない状態であることは否定できない。しかし、言渡しの時期の遅れは、判決手続の構成自体に致命的な欠陥があるとする絶対的上告理由には当たらない。また、本件において4年という期間が経過した事実があるとしても、そのこと自体から判決の内容が不当となったことを推認させる「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反」があるとは断定できない。
結論
判決言渡しの遅延を理由とする上告は認められない。また、自作農創設特別措置法の違憲主張や事実認定の不服も採用できず、上告を棄却する。
実務上の射程
訴訟手続の訓示規定に違反した場合の判決の効力を示す。直接口頭主義との関係で問題になり得るが、言渡し時期の遅延のみをもって判決を無効・破棄することは困難であることを示唆している。実務上は、著しい遅延があっても他の実体的・手続的な具体的違法を指摘できない限り、本判例が維持される可能性が高い。
事件番号: 昭和25(オ)287 / 裁判年月日: 昭和26年10月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する取消訴訟において、出訴期間の規定は公法上の法律関係を早期に確定させるための強行規定であり、処分の実体的な違法性の有無や行政庁による訴訟提起の要請にかかわらず適用される。 第1 事案の概要:上告人は、自作農創設特別措置法に基づく農地買収処分について、病者が不在地主にならない保障に反す…
事件番号: 昭和25(オ)113 / 裁判年月日: 昭和26年8月1日 / 結論: 棄却
一 自作農創設特別措置法第六条第五項の公告には、単に買収計画を定めた旨の記載があれば足り、買収すべき農地、買収時期、対価の記載がなければならないものではない。 二 地区農地委員会の設けられている場合には、自作農創設特別措置法第六条第五項の公告は、地区農地委員会の事務所の掲示場に掲示して行うべきである。 三 農地買収計画…
事件番号: 昭和25(オ)10 / 裁判年月日: 昭和26年11月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分の取消しを求める訴えが、出訴期間を経過した後に提起された不適法なものである場合、当該処分に無効原因があるとの主張が含まれていても、裁判所は処分の当否について実体的な判断を加える必要はない。 第1 事案の概要:上告人所有の農地に対し、農地委員会および県知事が農地買収計画および買収処分を行った…
事件番号: 昭和25(オ)341 / 裁判年月日: 昭和27年4月18日 / 結論: 破棄差戻
行政事件訴訟特例法施行の日に農地買収計画に対する異議申立期間が満了し、当時の交通事情等により訴訟関係人らが同法の内容を知り得なかつた事情があるならば、同法施行後にかいても、右買収計画の取消を求める訴を提起するについて異議、訴願を経ない正当な事由があるものというべきである。