建物収去、土地明渡を命ずる判決において、主文と引用の図面および判決理由とを対照しても、基点が不特定のため建物の収去部分と土地の明渡部分の範囲が現地のいかなる地域にあたるかを特定できないときは、主文不明確の違法を免れない。
主文不明確の違法があるとされた事例。
民訴法191条
判旨
判決の主文および添付図面において、建物収去・土地明渡の範囲を特定するための基点が不明である場合、主文不明確の違法がある。強制執行の対象となる範囲が客観的に確定できない判決は維持することができない。
問題の所在(論点)
建物収去・土地明渡を命ずる判決主文において、その対象範囲を特定するための図面上の基点が不明である場合、主文不明確の違法が認められるか。
規範
判決主文は、執行力の範囲を確定する機能を果たすため、その内容が客観的に明確でなければならない。特に建物収去や土地明渡を命ずる場合、図面等により示される範囲の基点が現地のどの地点を指すか特定し得る手掛かりを欠くときは、主文不明確の違法が生じる。
重要事実
原告が被告らに対し、宅地の一部に突出する建物の収去と土地の明渡しを求めた事案。第一審判決は、別紙図面の各点を結んだ線で囲まれた部分の収去・明渡しを命じた。しかし、当該図面の基点(イ)が現地のいずれの地点を指すかを知る手掛かりが、判決書、添付図面、検証調書のいずれにも記載されていなかった。
事件番号: 昭和36(オ)781 / 裁判年月日: 昭和37年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】借地法(旧法)の保護を受ける賃貸借への変更の有無は、建物の大小、形態、構造のみならず、諸般の事情を総合的に斟酌して判断されるべきである。また、解約申入れが権利濫用に当たるか否かは、認定された事実関係に基づき個別具体的に判断される。 第1 事案の概要:上告人は、ある時点を境として、本件賃貸借が借地法…
あてはめ
本件第一審判決の主文および添付図面を確認すると、収去・明渡しの範囲を画定する境界線の起点となる(イ)点について、現地の具体的な地点を特定する情報が全く存在しない。検証調書においても特定に資する表示がない。このように、判決の記載から対象範囲を明確に知ることができない以上、当該主文は執行の対象を客観的に特定できず、不明確であるといえる。
結論
判決主文が不明確であるという違法があるため、原判決は破棄を免れない。建物の収去部分と宅地の明渡部分の範囲を明確にするため、審理を差し戻すべきである。
実務上の射程
給付訴訟、特に不動産の明渡しや工作物の収去を求める訴えにおいて、判決主文の特定(執行の対象の特定)が不十分である場合の瑕疵を突く際に活用する。司法試験の起案においては、主文の記載が強制執行に耐えうる程度に具体的・客観的であるかを検討する指標となる。
事件番号: 昭和36(オ)437 / 裁判年月日: 昭和36年12月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決主文における建物や動産の表示が、建坪や数量等の具体的な数値を含まないものであっても、目録の記載によって目的物の敷地が特定されている場合には、主文の不明確を理由に失当とはならない。 第1 事案の概要:上告人は、第一審判決主文の表示が不明確であると主張した。当該主文では、目的物について「(イ)地上…
事件番号: 昭和39(オ)24 / 裁判年月日: 昭和40年2月12日 / 結論: 棄却
土地賃貸人において、転借人に対し後日直接賃貸借契約をしてよい意向を示し、それまでの間は転借について暗黙の承諾をしたと見られるような態度をとり、転借人としては、賃貸人の指図に従い、同人の転貸人に対する賃貸借消滅による建物収去土地明渡請求訴訟に協力する態度をとり、賃貸人が勝訴すれば自ら賃借できると考え、同人から明渡を請求さ…
事件番号: 昭和36(オ)361 / 裁判年月日: 昭和38年11月14日 / 結論: 棄却
建物所有を目的とする土地賃借人が借地に隣接する賃貸人所有地にまで越境して建物を建築した場合、右越境建築が当該隣地における賃貸人の店舗経営上以上な支障をきたすなど判示のような事実関係のもとでは、右越境建築により、借地自体の用方違反があるということができる。
事件番号: 昭和36(オ)297 / 裁判年月日: 昭和36年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民法388条の法定地上権が成立するためには、抵当権設定当時において土地の上に建物が存在することが不可欠である。 第1 事案の概要:上告人(被告)個人の所有名義となっている建物について、被上告人がその権利を主張した。これに対し、上告人は法定地上権の成立や権利濫用等を主張して争った。原審は、挙示された…