借地法第一七条の適用ある賃貸借契約に同法第一八条の適用がないとする根拠はない。
借地法第一七条の適用ある賃貸借契約につき同法第一八条適用の有無。
借地法17条,借地法18条
判旨
借地法上の更新規定に反し、賃借人に不利な内容を含む和解条項は、同法11条(強行規定)により無効となり、これに基づく強制執行は許されない。
問題の所在(論点)
借地法施行後に更新された借地契約において、借地法上の更新規定に反して賃借人に不利な明渡を定めた和解条項の効力、およびこれに基づく強制執行の可否。
規範
借地法(旧法)の更新に関する規定(6条、4条等)は、借地権者に不利な特約を禁止する同法11条により強行規定としての性質を有する。したがって、裁判上の和解であっても、その内容が更新権を制限し、借地権者に不利な土地明渡義務を課すものであるときは、同条によりその約定はなかったものとみなされる。
重要事実
本件土地賃貸借契約は、昭和6年8月に締結された。その後、昭和15年の勅令により甲府市に借地法が施行された。同法17条により存続期間は契約締結から20年(昭和26年8月末まで)となり、その後も法定更新がなされたと解される状況にあった。しかし、当事者間で「一定の期間経過後に土地を明け渡す」旨を含む和解条項が成立しており、上告人は当該和解条項に基づき強制執行を申し立てた。
事件番号: 昭和42(オ)666 / 裁判年月日: 昭和43年3月28日 / 結論: 棄却
裁判上の和解により成立した土地賃貸借についても、土地の利用目的、地上建物の種類、設備、構造、賃貸期間等諸般の事情から、賃貸借当事者間に短期間にかぎり賃貸借を存続させる合意が成立したと認められる場合には、右賃貸借は、借地法第九条にいう一時使用の賃貸借に該当し、同法第一一条の適用を受けないと解すべきである。
あてはめ
本件契約には、借地法施行により同法18条、6条、5条1項等が適用される。これらの規定によれば、期間満了後も借地権者が使用を継続し賃貸人が遅滞なく異議を述べない限り、契約は従前と同一条件で更新されたものとみなされる。本件和解条項第5項は、これらの法定更新の利益を放棄させ、借地権者(被上告人)に不利な土地明渡を強いるものである。また、賃貸人(上告人)による使用継続に対する異議についても「正当の事由」がないと認められる。したがって、当該和解条項は借地法11条に抵触する。
結論
本件和解条項は借地法11条により無効(定めなかったものとみなす)であり、これに基づく強制執行は許されない。
実務上の射程
裁判上の和解であっても借地法(現行の借地借家法含む)の強行規定に反する合意は無効となり得ることを示す。特に、更新後の期間や明渡条項が賃借人の法的地位を不当に害する場合、その執行力が否定される根拠として活用できる。
事件番号: 昭和30(オ)196 / 裁判年月日: 昭和31年11月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の和解において、一定の期間まで賃貸借契約を存続させ、その期間満了と同時に解約し建物を収去して土地を明け渡す旨の合意は、期限付の合意解約として有効である。 第1 事案の概要:賃貸人(被上告人)と賃借人(D)との間で、従前の土地賃貸借契約を昭和28年5月末日まで存続させるが、当該期間の満了と同時…
事件番号: 昭和36(オ)53 / 裁判年月日: 昭和38年1月25日 / 結論: 棄却
裁判上の和解は、確定判決と異り、一面私法上の契約たる性質をも有し、私法上の無効原因があるときは、初めから無効である。