本案の裁判に対する上訴とともに訴訟費用の裁判に対し不服が申し立てられた場合においても、本案の裁判に対する上訴の理由がないときは、訴訟費用の裁判に対する不服の申立は許されない。(昭和二九年一月二八日第一小法廷判決、民集八巻一号三〇八頁参照)。
一 原告主張の金額の債務の負担を認める旨の口頭弁論調書の記載からその弁済期の主張についても自白があつたものと解された事例 二 本案の上訴理由がないときの訴訟費用の裁判に対する不服申立
民訴法257条,民訴法361条,民訴法384条,民訴法396条,民訴法414条
判旨
口頭弁論期日において、相手方が主張する債務の負担、債権譲渡、及び通知の事実を認める旨陳述した場合には、特段の事情がない限り、弁済期を含む当該債務の詳細についても自白が成立したものと解される。また、貸金債権の履行遅滞は、支払命令の送達による請求時をもって発生すると判断される。
問題の所在(論点)
口頭弁論において「債務の負担を認める」旨の包括的な陳述がなされた場合、その自白の効果は「弁済期」に関する主張にも及ぶか。また、支払命令の送達が履行遅滞の始期となるか。
規範
当事者が口頭弁論において相手方の主張する事実を認める旨陳述した場合、それは裁判上の自白(民事訴訟法179条参照)となり、裁判所はこれを基礎として判決を行わなければならない。自白の対象となる事実の範囲は、陳述の趣旨を合理的に解釈して決定される。
重要事実
債権者である被上告人が、訴外Dから譲り受けた計11万3000円(3口)の貸金債権の支払を上告人に求めた事案。上告人は原審の第1回口頭弁論期日において、「債務の負担、債権譲渡の事実、及びその通知の事実を認める」旨を陳述した。しかし、上告人はその後に、うち2口の債務(計6万6000円)について「弁済期」の点は否認していた旨、および履行遅滞の時期の認定に誤りがある旨を主張して上告した。
あてはめ
上告人は、原審第1回口頭弁論期日において、包括的に債務の負担を認める陳述を行っており、これによって弁論が終結している。この陳述は、特定の債務について弁済期を除外して否認する趣旨であったとは解されず、口頭弁論調書の記載からも弁済期を含めて自白したものと認めるのが相当である。また、履行遅滞については、本件支払命令が上告人に送達されたことによって履行の請求がなされたといえるため、その翌日から遅延損害金が発生するとした原審の判断に違法はない。
結論
上告人の陳述により、弁済期を含む債務の事実について裁判上の自白が成立しており、支払命令送達の翌日を履行遅滞の始期とした判断も適法であるため、上告を棄却する。
実務上の射程
裁判上の自白の対象範囲の解釈に関する事例である。実務上、請求原因事実の一部を包括的に認める陳述(釈明)を行う際は、自白の範囲を明確に限定しない限り、その付随的事実(弁済期等)も含めて自白したものとみなされるリスクがあることを示唆している。答案上は、自白の成否や対象範囲が争点となる場面で、当事者の陳述の合理的解釈の基準として援用し得る。
事件番号: 昭和35(オ)1113 / 裁判年月日: 昭和37年4月12日 / 結論: 棄却
主債務者に対する債務存在の確定判決の効力は、当事者を異にするその債務の保証人には及ばない。