甲が乙名義の建築確認通知書の「建築主の住所氏名欄」の記載を、乙の諒解を得たのみで甲名義に訂正し、家屋台帳に自ら所有者として登録し、右台帳に基づき所有権保存登記を経由した場合においても、実体上甲が所有権を有するときは、該登記は無効とはいえない。
一 民訴法第七一条にいう「訴訟ノ結果ニ因リテ権利ヲ害セラルヘキコト」を主張してなされた参加の申立が参加理由を欠くとされた事例 二 甲が乙名義の建築確認通知書の「建築主の住所氏名欄」の記載を乙の諒解を得たのみで自己名義に訂正し、これに基づき家屋の登録および所有権保存登記を経た場合における該登記の効力
民訴法71条,不動産登記法(昭和35年法律14号による改正前),民法177条
判旨
未登記の建物を譲渡した者が、譲受人が直接自己の名義で所有権保存登記をすることに同意した場合、その登記手続に多少の瑕疵があっても、実体上の権利関係に合致する限り、当該登記は有効である。
問題の所在(論点)
未登記物件の譲受人が、譲渡人の同意を得て直接自己の名義で行った所有権保存登記(いわゆる中間省略登記の一態様)は、登記手続に不備がある場合であっても有効か。
規範
不動産登記は実体的な法律関係を公示するものであるから、登記手続上の過程に些少の瑕疵があったとしても、その登記が現在の実体的な法律関係に合致している限り、その効力を否定すべきではない。
重要事実
債務者である上告人A1は、被上告人に対する債務の代物弁済として、自己が新築し所有していた未登記の本件家屋を被上告人に譲渡した。その際、A1は被上告人が直接自己の名義で所有権保存登記をすることに同意し、建築確認通知書を交付した。被上告人は、建築確認通知書の施主名義を自己に変更するなどの手続を経て、家屋台帳に所有者として登録し、それに基づき被上告人名義の所有権保存登記を経由した。A1は、当該登記手続の不備(不動産登記法等の規定に厳格に従っていない点)を理由に登記の無効を主張した。
あてはめ
本件において、上告人A1は本件家屋の所有権を被上告人に譲渡し、被上告人が直接保存登記を行うことに明確な同意を与えている。被上告人が建築主名義を訂正して家屋台帳に登録し、それに基づき保存登記を行った過程には手続上の瑕疵が認められる。しかし、代物弁済により本件家屋の実体的な所有権は既に被上告人に移転しており、当該保存登記は現在の権利関係を正しく反映している。したがって、実体関係との合致が認められる以上、登記手続上の不備を理由に無効と解することはできない。
結論
本件保存登記は実体的な法律関係に合致しており有効である。したがって、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
物権変動の過程を忠実に反映しない「中間省略登記」や「直接の保存登記」であっても、現在の実体関係に合致し、かつ関係当事者の合意がある場合には、登記の有効性が認められるという判断枠組みとして、実務上広く活用される。
事件番号: 昭和29(オ)717 / 裁判年月日: 昭和30年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産物権変動の過程や原因を正確に反映していない登記であっても、現在の実体的権利関係に合致するものである限り、その登記は有効である。未登記家屋の譲受人が前主との合意に基づき自己名義で行った保存登記は、実体的な所有権と一致するため、第三者に対抗し得る有効な登記となる。 第1 事案の概要:被上告人は、…