右違反は、商品取引所法第一五五条により罰則を受けることはあつても、右個々の行為は公序良俗に反するものでないから無効ではない。
商品取引所法第九三条に違反する売買取引の取次の受託および取次行為の効力。
商品取引所法93条,商品取引所法155条,民法90条
判旨
商品取引所の仲買人でない者が客から商品清算取引の取次委託を受ける行為は、商品取引所法に違反し罰則の適用があるとしても、直ちに公序良俗に反して無効となるものではない。
問題の所在(論点)
商品取引所法上の無資格者による取引の取次行為が、取締法規(商品取引所法93条等)に違反することを理由として、民法90条により私法上無効となるか。
規範
取締法規に違反する私法上の行為の効力については、当該規定が単なる取締規定にとどまるか、あるいは強行法規(効力規定)として私法上の効力をも否定する趣旨かによって決せられる。当該規定に違反する行為であっても、直ちに公序良俗(民法90条)に反すると評価されるほど反社会性が高いとはいえない場合には、私法上の効力は否定されない。
重要事実
商品取引所の仲買人ではない被上告人Bは、多数の客(上告人を含む)から小豆清算取引等の委託を受け、これを正規の仲買人に取り次ぐ業務を行っていた。この行為は商品取引所法93条に違反し、同法155条の罰則の対象となるものであった。上告人は、当該取引が取締法規に違反し公序良俗に反する無効なものであるとして、私法上の効力を争った。
事件番号: 昭和33(オ)767 / 裁判年月日: 昭和35年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産登記手続において、代理人が本人及び相手方の双方を代理する場合であっても、それが既に成立している法律関係に基づく登記義務の履行であるときは、民法108条本文の禁止する双方代理には当たらない。 第1 事案の概要:上告人と被上告人の間の不動産取引に関連し、特定の書面(丙第2号証)が上告人の意思に基…
あてはめ
被上告人Bが仲買人資格を持たずに取引の取次を行ったことは、行政上の取締規定である商品取引所法には抵触し、刑事罰の対象となり得る。しかし、取次行為およびその委託を受ける個々の行為自体は、商行為としての実態を有するものであり、その内容が社会秩序に直接反するような反社会性を備えているとは認められない。したがって、業法上の制限に違反しているという一事をもって、私法上の契約の効力までを否定する公序良俗違反には当たらないと解される。
結論
本件取次委託契約は有効である。取締法規違反であっても、個々の行為が当然に無効となるわけではない。
実務上の射程
行政法規(取締規定)違反と私法上の効力を切り離して考えた典型例である。司法試験の答案作成においては、強行法規違反(民法91条)や公序良俗違反(90条)を論じる際、法目的が「取引の安全」や「契約当事者の保護」にあるのか、それとも単なる「秩序の維持(取締り)」にあるのかを区別する際の指標となる。本判決の論理は、現代の業法違反事案においても、射程が及ぶ重要な判断枠組みである。
事件番号: 昭和38(オ)1111 / 裁判年月日: 昭和39年5月23日 / 結論: 棄却
債務額一三七万円の約四・五倍にあたる六〇九万五千円余の価額を有する土地および建物を目的とする代物弁済契約であつても、相手方の窮迫、軽卒に乗じ不当な利益を獲得する目的でしたものと認められない以上、右代物弁済契約は、民法第九〇条により無効であるとはいえない。
事件番号: 昭和37(オ)912 / 裁判年月日: 昭和39年4月2日 / 結論: 棄却
民法第一一〇条の表見代理が成立するために必要とされる基本代理権は私法上の行為についての代理権であることを要すると解すべきである。
事件番号: 昭和35(オ)1408 / 裁判年月日: 昭和37年6月8日 / 結論: 棄却
講の実態が営業的無尽であつて、相互銀行法第二条第一項第一号に違反するとしても、これをもつて直ちに講と加入者との間の講に関する契約が公序良俗に違反し無効となるものではない。