講の実態が営業的無尽であつて、相互銀行法第二条第一項第一号に違反するとしても、これをもつて直ちに講と加入者との間の講に関する契約が公序良俗に違反し無効となるものではない。
相互銀行法第二条第一項第一号に違反する講契約は公序良俗に反するか。
民法90条,相互銀行法2条1項1号
判旨
取締法規に違反する行為であっても、そのすべてが当然に公序良俗に反し無効となるわけではなく、当該法規の趣旨や公序良俗の観点から個別に判断されるべきである。
問題の所在(論点)
取締法規に抵触する私法上の行為は、民法90条に基づき一律に公序良俗違反として無効となるか。
規範
取締法規に違反する私法上の行為が、直ちに民法90条の公序良俗に反し無効となるわけではない。当該法規が単なる行政上の取締りを目的とするものか、あるいは強行法規として私法上の効力までも制限する趣旨を含むものか、行為の反社会性の程度を考慮して判断すべきである。
重要事実
上告人らは、ある行為が取締法規に違反していることを理由に、その行為が当然に公序良俗に反し無効であると主張して上告した。しかし、具体的な事実関係(どのような取締法規に、どのような形で違反したのか)の詳細については、本判決文からは不明である。
事件番号: 昭和41(オ)1438 / 裁判年月日: 昭和42年10月31日 / 結論: 破棄差戻
甲が乙に不動産を仮装譲渡し、丙が善意で乙からこれを譲りうけた場合であつても、丙が所有権取得登記をする前に、甲からの譲受人丁が乙を債務者とし該不動産について処分禁止の仮処分登記を経ていたときは、丙はその所有権取得を丁に対抗することができない。
あてはめ
最高裁は、取締法規違反の行為がすべて公序良俗に反し無効になるとする上告人の主張を「独自の見解」として退けた。原審が取締法規違反であっても私法上の効力を認めた判断は「首肯できる」とし、当該違反行為が直ちに社会秩序を乱すほどに反社会的であるとは評価できない、あるいは法規の目的が私法的効力を否定するまでには至らないと判断したものと考えられる。
結論
取締法規に違反する行為であっても、その事実のみをもって当然に公序良俗違反(民法90条)として無効になるわけではない。
実務上の射程
行政法上の取締法規(業法上の無免許営業や各種禁止行為など)に違反した契約の効力が争われる事案において、取締規定(効力規定ではない)にすぎないことを理由に私法上の契約の有効性を維持する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)228 / 裁判年月日: 昭和37年4月6日 / 結論: 棄却
死者名義をもつてされた分筆登記は有効である。
事件番号: 昭和37(オ)875 / 裁判年月日: 昭和40年1月19日 / 結論: 棄却
土地の共有者がその持分権のみを第三者に移転するには、他の共有者の同意は不要である。
事件番号: 昭和36(オ)315 / 裁判年月日: 昭和39年1月30日 / 結論: その他
一 甲乙両名が共同相続した不動産につき乙が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに第三取得者丙が乙から移転登記をうけた場合、甲は乙丙に対し自己の持分を登記なくして対抗できる。 二 右の場合、甲が乙丙に対し請求できるのは、甲の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であつて、各登記の全部抹消を求めることは許されない。
事件番号: 昭和35(オ)827 / 裁判年月日: 昭和38年6月27日 / 結論: 棄却
右違反は、商品取引所法第一五五条により罰則を受けることはあつても、右個々の行為は公序良俗に反するものでないから無効ではない。