死者名義をもつてされた分筆登記は有効である。
死者名義をもつてされた分筆登記の効力
不動産登記法(昭和35年法律14号による改正前)79条,民法177条
判旨
死亡者名義でなされた分筆登記であっても、そのことのみをもって当該登記を直ちに無効とすることはできない。
問題の所在(論点)
登記名義人が死亡した後にその名義でなされた分筆登記の有効性(不動産登記法上の適法性および実体法上の効力)。
規範
登記手続に形式的な瑕疵がある場合であっても、それが実体上の権利関係に合致し、または合致するに至る過程にあるものであれば、その登記を無効とすべきではない。死亡者名義での申請という形式的不備があっても、直ちに無効原因とはならない。
重要事実
不動産の分筆登記がなされた際、その申請名義人が既に死亡していた。上告人は、当該分筆登記が死亡者名義をもってなされたものであることを理由に、その無効を主張して争った。
あてはめ
本件における分筆登記は、死亡者名義でなされたという点において手続上の不備がある。しかし、登記制度の本旨は実体的な権利関係を公示することにある。死亡者名義でなされたという形式的な事情のみによって登記を無効と解すると、かえって現状の権利関係の把握を困難にするおそれがある。したがって、死亡名義による申請であることの一事をもって無効と断じることはできない。
事件番号: 昭和35(オ)1408 / 裁判年月日: 昭和37年6月8日 / 結論: 棄却
講の実態が営業的無尽であつて、相互銀行法第二条第一項第一号に違反するとしても、これをもつて直ちに講と加入者との間の講に関する契約が公序良俗に違反し無効となるものではない。
結論
死亡者名義でなされた分筆登記を無効とすることはできない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
登記の有効性に関する実体主義の立場を分筆登記においても認めたものである。死亡者名義の登記(死者名義登記)であっても、それが相続人等の承継人による実体的な権利関係に基づいている限り、手続的瑕疵のみで無効にはならないという、民法・不動産登記法上の論点(登記の有効要件)として活用できる。
事件番号: 昭和35(オ)885 / 裁判年月日: 昭和36年6月1日 / 結論: 棄却
不動産に対する強制競売手続において、死者である甲名義で競落許可決定がなされたとしても、甲は乙の先代であつて、乙が現実に競買の申出をなし、競落人として競落許可決定を受けたときは、右の競落許可決定は無効であるとはいえない。
事件番号: 昭和28(オ)111 / 裁判年月日: 昭和31年7月27日 / 結論: 破棄差戻
不動産の譲渡人から与えられた代理権に基き、譲渡人の死亡後同人の代理人名義の申請によつてなされた移転登記は、それが現在の真実な権利状態に符合するものである限り、対抗力を有し、譲渡人の相続人は譲受人に対し、その抹消を請求することはできない。
事件番号: 昭和33(オ)1044 / 裁判年月日: 昭和35年7月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産売買の売主が所有権移転登記手続の代理権を授与した後、受任者が売主の死亡後に代理人として登記を申請した場合、その登記手続は有効である。 第1 事案の概要:上告人の被相続人Dは、本件不動産を被上告人に売却し、その所有権移転登記手続の代理権を姉であるEに授与した。その後、Dが死亡したが、受任者Eは…