一 身元保証契約は、雇傭成立後五年を経過して締結されても無効ではない。 二 雇傭関係成立後五年以上経過してなされた身元保証契約も無効ではない。
一 雇傭成立後五年を経過して締結された身元保証契約の効力 二 雇傭後五年経過してなされた身元保証契約の効力
身元保証に関する法律1条,身元保証に関する法律2条,身元保証に関する法律6条,身元保証法1条,身元保証法2条,身元保証法6条
判旨
身元保証人の賠償責任の範囲及び金額を決定するにあたっては、身元保証法に基づき、被用者の監督に関する雇主の過失の有無、身元保証をするに至った経緯及びこれをするに際し払った注意の程度、被用者の任務又は身上の変化等の一切の事情を斟酌すべきである。
問題の所在(論点)
身元保証法5条に基づく裁判所の損害賠償額の算定において、どのような事情を考慮すべきか。また、複数の身元保証人がいる場合の責任の個別性の有無が問題となる。
規範
裁判所は、身元保証人の損害賠償の責任及びその金額を定めるに当たっては、被用者の監督に関する雇主の過失の有無、身元保証人が身元保証をするに至った経緯及びこれをするに際し払った注意の程度、被用者の任務又は身上の変化その他一切の事情を斟酌するものとする(身元保証法5条)。
重要事実
上告人ら3名は、被上告人(雇主)との間で被用者のための身元保証契約を締結した。その後、被用者が被上告人に対して損害を与えたため、被上告人が上告人らに対し、身元保証債務の履行として総額100万円の支払いを求めて提訴した。原審は、諸般の事情を考慮した上で、上告人ら各自が負担すべき賠償額を個別に算定し、請求を一部認容した。
あてはめ
本件において、原審は上告人ら(身元保証人)及び被上告人(雇主)双方の諸般の事情を認定した。具体的には、保証契約締結の経緯や雇主側の監督状況といった「一切の事情」を総合的に考慮している。判決文からは各事実の具体的な内容は不明であるが、これらの事情を基に賠償額を減額・調整した原審の判断には、経験則違反や理由不備といった違法は認められず、法5条の趣旨に合致するものと解される。
結論
身元保証人の責任範囲及び額の決定において一切の事情を斟酌した原審の判断は正当であり、上告人ら各自に特定の金額の支払義務を認めた判断は維持される。
実務上の射程
身元保証法5条の適用場面において、裁判所に広範な裁量権(衡平の観点からの減額権限)があることを確認する判例である。答案上では、身元保証人の責任を制限する際の根拠として、同条に列挙された事情(監督状況、経緯、身上変化等)を具体的事実から拾い上げてあてはめる際の指針となる。
事件番号: 昭和31(オ)775 / 裁判年月日: 昭和35年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】身元保証人の責任に関し、被用者の監督について使用者に過失がある場合であっても、裁判所が諸般の事情を考慮して身元保証人の賠償責任の範囲を制限した上で、なお一定の責任を認めることは適法である。 第1 事案の概要:被用者の不法行為等により損害を被った使用者(被上告人)が、身元保証人(上告人)に対して損害…