判旨
地方自治法74条の2第8項を根拠とする訴えは、同条項が定める出訴要件に該当しない場合、不適法な上告として却下される。
問題の所在(論点)
地方自治法74条の2第8項を根拠として提起された訴えにおいて、請求の内容が同条項の定める出訴に当たらない場合、最高裁判所に対する直接の上告が認められるか。
規範
地方自治法74条の2第8項に基づく直接の跳躍上告が認められるためには、当該訴訟が同条項の定める適法な出訴に該当することを要する。請求の趣旨が同条項の予定する範囲外である場合、当該上告は不適法である。
重要事実
上告人は、町長解職および町議会解散請求に関するリコール取下げが有効であるとした被告(川島町長)の決定の取消しを求め、地方自治法74条の2第8項に基づき最高裁判所へ上告した。しかし、請求の内容は同条項が予定する選挙人名簿の登録等に関する不服申立ての形式をとっていなかった。
あてはめ
本件訴状には地方自治法74条の2第8項による旨の記載があるが、請求の趣旨はリコール取下げの有効決定の取消しを求めるものである。これは同条項による出訴には当たらないことが明白である。したがって、原判決も同条項に基づく判決とはいえず、最高裁判所に対して直接上告することは許されない。
結論
本件上告は不適法であり、却下される。
実務上の射程
地方自治法に基づく特別の不服申立手続を利用する場合、訴えの対象が個別条項の要件に合致しているかを厳格に審査すべきである。要件を欠く場合は、民事訴訟法上の通常の控訴・上告手続を経ない跳躍上告は認められない。
事件番号: 昭和25(オ)354 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
訴願裁決で農地買収計画を取り消した後に、裁決庁が自ら右訴願裁決を取り消すことは原則としてゆるされない。
事件番号: 昭和34(オ)940 / 裁判年月日: 昭和35年3月4日 / 結論: その他
町議会の除名処分(昭和三一年法律第一四七号による地方自治法の改正後になされた処分)に対する出訴については、県知事に対する訴願の裁決を経由すべきものである。