宅地建物取引業者は、不動産の買受人より依頼をうけて売買の媒介をなし、契約を成立せしめるに至つたときは、商法第五一二条により右買受人に対し報酬を請求しうる。
宅地建物取引業者の不動産売買の媒介と報酬請求。
商法502条11号,商法512条,宅地建物取引業法17条
判旨
宅地建物取引業者である商人が、依頼を受けて不動産売買の媒介を行い、売買契約を成立させた場合には、特段の合意がなくとも商法512条に基づき相当額の報酬を請求できる。
問題の所在(論点)
商人が不動産売買の媒介を行い、契約を成立させた場合、明示的な報酬の特約がなくても、商法512条に基づき報酬を請求できるか。また、その場合の報酬額はどのように決定されるべきか。
規範
商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたときは、特約がない場合であっても、相当な報酬を請求することができる(商法512条)。これには、宅地建物取引業者が依頼を受けて不動産売買の媒介を行い、契約を成立させた場合も含まれる。
重要事実
宅地建物取引業を営む商人が、当初は売主から、その後は買主(上告人)からも依頼を受けて不動産売買の媒介を行った。その結果、売主が当初申し出た金額から50万円を減額させた450万円で売買契約を成立させるに至った。媒介者は買主に対し、媒介行為に対する報酬の支払いを求めた。
あてはめ
被上告人は宅地建物取引業法に基づき登録した宅地建物取引業を営む商人である。被上告人は上告人から依頼を受けて媒介を行い、価格交渉を経て450万円での売買を成立させている。これは商人がその営業の範囲内において他人のためにした行為に該当するため、商法512条により報酬請求権が発生する。報酬額については、売買代金や交渉の経緯等の諸事情を考慮し、原審が認定した5万円という算定は相当である。
結論
商人が営業の範囲内で媒介行為を行い契約を成立させた場合、商法512条に基づき、諸般の事情から算出される相当額の報酬を請求することができる。本件では5万円の請求が認められる。
実務上の射程
商法512条の報酬請求権が成立するための「他人のために行為をした」ことの具体例として、不動産の媒介・成約を挙げている。答案上、報酬の合意がない事案で商人の報酬請求を認める際の根拠として活用できる。報酬額については裁判所の裁量的認定を容認する姿勢を示している。
事件番号: 昭和46(オ)22 / 裁判年月日: 昭和50年12月26日 / 結論: その他
売主又は買主の一方からのみ仲介の委託を受けた宅地建物取引業者の仲介行為によつて契約が成立した場合において、当該業者が委託を受けない当事者に対し商法五一二条に基づく報酬請求権を取得するためには、客観的にみて右当事者のためにする意思をもつて仲介行為をしたものと認められることを要し、単に委託者のためにする仲介行為の反射的利益…