判旨
青色申告の承認申請書の提出期限(旧法人税法25条3項)は訓示規定ではなく効力規定であり、期限後の申請に基づき当該年度から青色申告を行うことは認められない。また、申告がない場合等には、税務官庁は調査に基づき一方的に賦課決定(決定通知)を行うことができる。
問題の所在(論点)
1. 青色申告承認申請書の提出期限(旧法人税法25条3項)は訓示規定か。2. 申告がない場合や無税申告の場合に、税務官庁が一方的に賦課決定を行うことができるか。
規範
法人税法における青色申告の承認申請書の提出期限に関する規定(旧25条3項)は、単なる訓示規定ではなく、適法な青色申告の承認を得るための要件を定めた規定である。また、申告義務があるにもかかわらず申告がない場合や、納付すべき税額がない旨を申告した場合、税務官庁は同法30条に基づき、一方的に税額を確定させる賦課決定(決定)を行う権限を有する。
重要事実
上告人は、昭和27年度の法人税について青色申告を行うべく、昭和27年5月27日に承認申請書を提出した。しかし、当該申請は同年度の申告に間に合う期限内にされたものではなかった。上告人は、当該期限規定は訓示規定にすぎず、承認を受けた前提で申告ができると主張した。一方、税務当局(被上告人)は、上告人の申告内容に誤りがあるとして、帳簿等の詳細な調査を待たずに、法人税法30条に基づき一方的に税額の決定通知を行った。上告人は、これらの処分の取り消しを求めて争った。
あてはめ
1. 青色申告の承認申請期限について、上告人はこれを訓示規定と主張するが、法の規定上、期限後の申請によって直ちに当該年度から青色申告が可能になるわけではない。原審が認めた通り、昭和27年5月の申請により青色申告が可能となるのは翌昭和28年度からであると解するのが相当である。 2. 賦課決定権限について、法人税法30条は、申告義務者が申告を怠った場合や、税額がないものとして申告した場合に、税務官庁が自ら調査して税額を決定することを明文で認めている。本件では帳簿調査を待たずとも計算上の誤りが明らかである以上、当該決定通知は適法になされたものといえる。
結論
1. 青色申告承認申請の期限規定は訓示規定ではないため、期限後申請による当該年度の青色申告は認められない。2. 税務官庁による一方的な賦課決定は適法である。したがって、本件上告は棄却される。
事件番号: 昭和45(行ツ)36 / 裁判年月日: 昭和49年4月25日 / 結論: 棄却
一、旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)二五条九項による青色申告書提出承認取消処分の通知書には、右取消が同条入項各号のいずれによるものであるかを附記するのみでは足りず、取消の基因となつた事実をも処分の相手方において具体的に知りうる程度に特定して摘示しなければならない。 二、旧法人税法(昭和二二年法律第二八号)二五条九項…
実務上の射程
申告納税制度における手続的要件(申請期限)の厳格性を確認した判例である。行政法・租税法の答案において、期間制限が効力規定か訓示規定かが争点となる際の比較対象として活用できる。また、税務当局の更正・決定権限の法的根拠を基礎付ける事案としても参照される。
事件番号: 昭和32(オ)953 / 裁判年月日: 昭和34年2月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】青色申告書の提出がなかったという原審の事実認定に不服を申し立てる上告については、単なる事実誤認の主張にすぎないため、上告理由として採用されない。 第1 事案の概要:上告人は、所得税等に関して青色申告書を提出したと主張したが、原審は青色申告書の提出がなかったものと事実認定した。これに対し、上告人が原…
事件番号: 昭和35(オ)49 / 裁判年月日: 昭和35年12月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】他名義の預金の存在や、所得率が著しく低いこと等は、所得税法上の青色申告承認の取消事由に該当し、当該取消処分は適法である。 第1 事案の概要:上告人は青色申告の承認を受けていたが、税務署長(被上告人)は、DおよびEという他人の名義を用いた別途預金が存在していること、および所得率が実態に比して著しく過…
事件番号: 昭和33(オ)692 / 裁判年月日: 昭和35年2月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政処分に対する出訴期間の起算点は、原則として最初の処分または審査決定の告知があった時から進行し、法令上の根拠がない再審査請求によってその進行が阻止されることはない。また、当初の処分の一部を取り消す等の誤謬訂正決定がなされても、当初の処分から既に経過した出訴期間が改めて進行を開始することはない。 …
事件番号: 昭和35(オ)180 / 裁判年月日: 昭和36年12月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】役員報酬の損金算入の適否を判断するにあたっては、役員の勤務実態、類似営業を行う法人の報酬水準、および会社規模等を総合的に勘案し、客観的な妥当性に基づいて決定すべきである。 第1 事案の概要:上告会社(資本金100万円以下)は、代表取締役Dに対し報酬を支払っていた。京橋税務署長は、Dの実際の勤務状態…