判旨
出入国管理令50条(現行の入管法50条)に基づく在留特別許可の付与は法務大臣の自由裁量に属する。申請者に個別の事情が存在する場合であっても、許可を与えないことが直ちに裁量権の逸脱・濫用となるわけではない。
問題の所在(論点)
出入国管理令50条に基づく在留の特別許可の性質は、法務大臣の自由裁量に属するか。また、申請者の入国経緯や生活状況等の個別事情を考慮して許可を与えない判断が、裁量権の逸脱・濫用となるか。
規範
出入国管理令50条(現行の入管法50条)による在留の特別許可を与えるか否かは、法務大臣の広範な自由裁量に属する判断事項である。したがって、処分の性質上、裁判所は法務大臣の判断を尊重すべきであり、その判断が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したと認められる場合に限り、違法として取り消すことができる。
重要事実
上告人は、日本に入国した経緯やその後の日本における生活状況等の個別的な事情を主張し、法務大臣に対して在留の特別許可を求めた。しかし、法務大臣は当該許可を与えない処分を行ったため、上告人はこれが裁量権の範囲を逸脱した違法なものであると主張して、処分の取消しを求めて争った。
あてはめ
本件において、上告人が主張する入国経緯やその後の生活状況等の諸事情を考慮したとしても、法務大臣が在留特別許可を与えないとの判断を下したことは、法務大臣に与えられた裁量権の範囲内にある。これらの個別事情が存在することのみをもって、法務大臣の判断に裁量権の逸脱・濫用があったと評価することはできない。
結論
法務大臣が在留特別許可を与えなかった処分に裁量権の逸脱・濫用はなく、適法である。したがって、上告人の請求を棄却した原判決は妥当であり、本件上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
在留特別許可が行政庁(法務大臣)の広範な裁量に属することを認めたリーディングケースである。司法試験においては、行政法上の裁量論(特に恩恵的処分の裁量)の文脈で、マクリーン事件判決等と並んで裁量の幅が極めて広い類型の典型例として引用・参照すべき判例である。
事件番号: 昭和34(オ)400 / 裁判年月日: 昭和35年4月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法務大臣による在留特別許可の付与は自由裁量に属し、在留期間経過後の外国人に対する退去強制手続が人道上極めて残虐で公序良俗に反するとは認められない限り、憲法にも違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、在留許可期間が経過した後も日本国内に在留していた外国人である。これに対し当局が退去強制令書を発付し…