判旨
法務大臣による在留特別許可の付与は自由裁量に属し、在留期間経過後の外国人に対する退去強制手続が人道上極めて残虐で公序良俗に反するとは認められない限り、憲法にも違反しない。
問題の所在(論点)
法務大臣による在留特別許可の判断に裁量権が認められるか。また、退去強制手続及びその前提となる収容規定等の違憲性が、退去強制処分の適否を左右するか。
規範
出入国管理令(現行の入管法)50条1項3号に基づく法務大臣の在留特別許可は、その性質上、法務大臣の自由裁量に属する。また、退去強制手続の適否は、収容に関する規定の違憲性や、争いのない事実に基づく処分の過程においては、直接的な影響を受けない。
重要事実
上告人は、在留許可期間が経過した後も日本国内に在留していた外国人である。これに対し当局が退去強制令書を発付したところ、上告人は、当該退去強制が人道上残虐であり公序良俗に反する旨、また収容規定や異議申立手続(入管令46条)が憲法11条、13条、18条、25条、34条等に違反し無効である旨を主張して、処分の取消しを求めた。
あてはめ
まず、在留特別許可は法務大臣の広範な自由裁量に委ねられている。本件において、上告人が在留期間経過後も継続して在留している事実に争いはないため、退去強制の要件自体は充足されている。次に、収容は退去強制の必然的な前提手続ではなく、収容規定の合憲性は退去強制処分の適否に直接関係しない。さらに、本件退去強制が人道上残虐であるという主張についても、原審が認定した事実関係に照らせば、公序良俗に反するほどの違法性は認められず、憲法各条項に違反する前提を欠く。
結論
在留特別許可は法務大臣の自由裁量であり、本件退去強制処分に違法や違憲の事由は認められないため、上告を棄却する。
実務上の射程
入管法上の在留特別許可が「自由裁量」であることを明示した初期の重要判例である。司法試験においては、マクリーン事件判決(最大判昭53.10.4)に至る裁量論の系譜として位置づけられ、行政法における「裁量権の範囲」や、憲法における「外国人の人権」を論じる際の基礎知識として活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)32 / 裁判年月日: 昭和34年11月10日 / 結論: 棄却
出入国管理令第五〇条に基き在留の特別許可を与えるかどうかは、法務大臣の自由裁量に属するものと解すべきである。
事件番号: 昭和47(行ツ)65 / 裁判年月日: 昭和51年1月26日 / 結論: 棄却
いわゆる政治犯罪人不引渡の原則は、未だ確立した一般的な国際慣習法とは認められない。
事件番号: 昭和34(オ)41 / 裁判年月日: 昭和35年4月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】生活の本拠である住所の有無は、居住を継続していたかという客観的な事実に基づき判断され、強制疎開等のやむを得ない事情による離脱であっても、長期間の不在があれば住所を失ったものとみなされる。 第1 事案の概要:上告人は元々日本国籍を有し、神戸市に居住していたが、昭和19年に戦時下の強制疎開のためやむを…
事件番号: 平成17(行ヒ)395 / 裁判年月日: 平成18年10月5日 / 結論: 棄却
法務大臣が出入国管理及び難民認定法49条3項所定の裁決をするに当たり裁決書を作成しなかったことは出入国管理及び難民認定法施行規則(平成13年法務省令第76号による改正前のもの)43条に違反するものであるが,容疑者は退去強制事由があることを争っていないこと,同条は上記裁決をするに当たって経ることが予定されている在留特別許…