判旨
裁判所の受付印が真の受付日時と一致しない事情がある場合、受付印の日付のみにより控訴期間の遵守を判断することは、審理不尽の違法にあたる。
問題の所在(論点)
裁判所の受付印の日付が実際の書類提出日と異なる疑いがある場合において、当該日付のみに基づいて控訴の適法性を判断することが許されるか(審理不尽の存否)。
規範
訴訟提起や控訴の適法性を判断する前提となる書類の提出時期については、形式的な受付印のみに依拠することなく、実質的な受付日時を確定すべきである。受付印が事後的に押印されたことが疑われる特段の事情がある場合には、真の提出日を調査・確定するための審理を尽くさなければならない。
重要事実
本件控訴状には、第一審裁判所の昭和34年4月9日付の受付印が押されていた。しかし、この受付印は受付当日ではなく数日後に脱落を発見して押印されたものであり、日記簿への記入もその際に行われたことが認められる事案であった。原審は、この日付のみを根拠に、控訴期間経過後の不適法な控訴として却下した。
あてはめ
本件では、受付印が当日のものではなく、数日後に脱落を発見して事後的に押印されたという特殊な事情が存在する。このような事情の下では、受付印の日付が真の受付日時に一致するものと速断することはできない。それにもかかわらず、原審が右日付のみにより、本件控訴状の提出日を昭和34年4月9日と断定して不適法却下したことは、真の受付日を確定するための審理を尽くしておらず、違法であると評価される。
結論
原判決を審理不尽の違法があるとして破棄し、実質的な受付日時を再検討させるため、本件を原審に差し戻す。
実務上の射程
事件番号: 昭和39(オ)672 / 裁判年月日: 昭和40年10月12日 / 結論: 棄却
買受の意思表示をなした日を示して主張された買戻権行使による登記手続請求に対し、買戻の効力が生じた日を示してなした登記手続請求認容の判決には、民訴法第一八六条に違反する違法はない。
裁判所の事務的な処理ミス(受付印の押し忘れや事後押印)があった場合に、当事者の訴訟上の権利(不服申立ての機会)が不当に奪われないよう、形式的証拠よりも実態的な事実関係を優先すべきことを示す。答案上は、期間遵守の有無が争点となる場面で、受付印の形式的証明力が否定される「特段の事情」を論じる際の根拠となる。
事件番号: 昭和31(オ)124 / 裁判年月日: 昭和32年9月17日 / 結論: 棄却
売買を原因として所有権移転登記手続の履行を命じる判決をなす場合、売買の日附は、必ずしも主文に表示する必要なく、理由中に明示されておれば足りる。
事件番号: 昭和33(オ)26 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】売買の予約の成立を認めるためには、その前提となる事実について証拠に基づき合理的に認定する必要があり、供述内容が予約ではなく本契約の成立を指している場合には、予約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)が上告人(被告)から土地200坪を単価140円で購入したと主張し、売買一…
事件番号: 昭和39(オ)561 / 裁判年月日: 昭和40年2月5日 / 結論: 破棄差戻
甲乙間の売買契約の成立を推認させる書証(乙を宛名人とする甲名義の売買代金領収証)を、乙が甲の代理人として丙と売買契約を締結した旨の事実認定の資料に供した判決は、該書証の意味を別異に解すべき特段の事情がないかぎり、採証法則に違背する。
事件番号: 昭和42(オ)672 / 裁判年月日: 昭和43年9月12日 / 結論: 棄却
認定した売買契約成立の日時についての判示の誤謬が記録上明白なものであるときは、右誤謬が当事者の申立の誤りおよび提出された証拠内容の誤りに基づくものであつても、民訴法第一九四条第一項を準用して誤謬の更正をすることが許される。