判旨
判決言渡期日の呼出がなされなかったとしても、その一事のみをもって直ちに判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違背があるとはいえない。
問題の所在(論点)
判決言渡期日の呼出を行わなかった手続上の不備が、民事訴訟法上の上告理由(判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反)に該当するか。
規範
判決言渡期日の呼出を欠く手続上の違法があったとしても、特段の事情がない限り、それのみでは判決の結果に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反(民事訴訟法旧401条、現312条等参照)には当たらない。
重要事実
上告人の代理人は、第一審判決正本の交付送達を昭和33年8月27日に受け、同年9月11日に控訴を申し立てた。原審(控訴審)は、判決言渡期日を昭和34年2月18日に指定したが、記録上、同期日についての呼出を行った形跡がなかった。上告人は、証人尋問が行われなかったことや、当該呼出がなかったことを憲法違反および法令違反として上告した。
あてはめ
本件では、判決言渡期日の呼出がなされていないという手続上の瑕疵は認められる。しかし、判決の言渡しは公開の法廷で適法に行われており、呼出の欠如によって当事者の攻撃防御の機会が不当に奪われたり、判決の内容自体が左右されたりする性質のものではない。したがって、呼出がなかったからといって、直ちに「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反」があるとは評価できない。
結論
判決言渡期日の呼出を欠いたことは、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反には当たらず、上告は棄却される。
実務上の射程
判決言渡手続における軽微な手続規定の不遵守(呼出漏れ等)があったとしても、判決の結論自体に影響がない限り、上告理由としての「判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反」には当たらないとする判断枠組みを示すものである。実務上、手続違背を主張する際は、それが結論を左右したかどうかの関連性を論証する必要があることを示唆している。
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