判旨
債権譲渡の通知が既になされている場合、その後に譲渡人に対してなされた弁済については、民法467条1項により譲受人に対抗できず、民法478条の適用を検討する余地はない。
問題の所在(論点)
適法な債権譲渡の通知がなされた後に、債務者が譲渡人等に対して行った弁済について、民法478条の適用により有効となる余地があるか。
規範
民法467条1項所定の債権譲渡の通知が適法になされた場合、債務者はもはや譲渡人を有効な債権者として扱うことはできず、その後に譲渡人に対してなされた弁済は、民法478条(受領権者としての外観を有する者への弁済)を適用して有効と判断する余地はない。
重要事実
債権者(譲渡人)から被上告人(譲受人)へ債権が譲渡され、債務者である上告人A1株式会社に対し、民法467条1項に基づく譲渡通知が有効になされた。しかし、上告人A1は、通知後であるにもかかわらず、譲渡人(または別の自称債権者である上告人A2)に対して弁済を行った。この弁済について、上告人側は善意無過失による有効性を主張した。
あてはめ
本件では、判示債権譲渡について、既に民法467条1項に基づく譲渡通知が有効になされている。この通知により、債務者は譲渡がなされた事実を確定的に認識すべき立場に置かれる。したがって、通知後になされた弁済は、同条項により譲受人に対抗できない。上告人は弁済当時の善意等を主張するが、通知が既になされている以上、債権の準占有者(受領権者としての外観を有する者)への弁済を保護する民法478条を問題とする前提を欠く。
結論
債権譲渡の通知後になされた弁済は無効であり、被上告人(譲受人)の債権は消滅しない。
実務上の射程
債務者が二重譲渡の場面などで「誰が真の債権者か」に迷い、誤って弁済した場合の保護の限界を示す。通知が到達した後は、478条による救済は受けられず、債務者は供託等によるリスク回避を図るべきであるという実務上の指針となる。
事件番号: 昭和45(オ)4 / 裁判年月日: 昭和46年3月25日 / 結論: 棄却
指名債権譲渡の通知は、右債権の譲渡人、その包括承継人またはそれらから委任を受けた者がなすべきで、右債権の譲受人が委任を受けないで事務管理として右譲渡の通知をしても、債権譲渡の通知の効力を生じない。
事件番号: 昭和47(オ)577 / 裁判年月日: 昭和48年4月6日 / 結論: 破棄差戻
破産法七四条一項所定の一五日の期間は、権利移転の原因たる行為の日からではなく、当事者間における権利移転の効果を生じた日から起算すべきである。