破産法七四条一項所定の一五日の期間は、権利移転の原因たる行為の日からではなく、当事者間における権利移転の効果を生じた日から起算すべきである。
破産法七四条一項所定の期間の起算日
破産法74条1項
判旨
旧破産法74条1項(現行164条1項)の否認権行使の基準となる「15日」の起算点は、権利移転の原因たる行為の日ではなく、当事者間において権利移転の効力が生じた日である。将来債権譲渡担保において、特定の債権が後に発生・移転した場合は、その移転の日から期間を算定すべきである。
問題の所在(論点)
旧破産法74条1項(現行164条1項)の対抗要件具備の否認における「権利の設定、移転又は変更があった日」とは、原因行為(契約等)の日を指すのか、それとも権利移転の効力が発生した日を指すのか。
規範
破産法における対抗要件具備の否認(現行164条1項)において、権利の設定、移転または変更の日から15日を経過した後の対抗要件具備を否認の対象とする規定の「15日」の期間は、原因行為の日ではなく、当事者間において実際に「権利移転の効果を生じた日」から起算すべきである。
重要事実
破産者D社は、上告人との間で、将来発生すべき売掛債権を担保目的で譲渡する契約を締結した。その後、実際に発生した売掛債権100万円について、支払停止後に債務者E社へ譲渡通知がなされた。原審は、原因行為である「譲渡契約締結日」から15日を経過した後の通知であるとして否認権の行使を認めたが、実際の権利移転時期(債権発生時等)については確定していなかった。
あてはめ
本件譲渡契約は、将来にわたって継続的に生ずべき債権を対象とし、不渡り等の事由が生じた際に特定の債権について実行する性質のものであった。このような将来債権の譲渡においては、契約時に直ちに個別の権利移転の効果が生じるとは限らない。本件100万円の債権について権利移転がいつ生じたかを確定せずに、単に契約日から15日を経過したことのみをもって否認を認めることは、規定の解釈を誤ったものといえる。
結論
本件否認権行使の適否を判断するには、原因行為の日ではなく、当該債権の権利移転の効力が生じた時点を確定し、そこから15日以内に対抗要件が具備されたかを審理すべきであるとして、破棄差戻しとした。
実務上の射程
集合債権譲渡担保等の将来債権譲渡において、対抗要件具備(通知・承諾等)が遅れた場合の否認の可否を論じる際に必須の判例である。契約時ではなく「権利移転時(実務上は債権発生時等)」を起点に15日の猶予期間を計算するという理屈は、現行164条1項の解釈としてそのまま通用する。
事件番号: 平成13(受)1797 / 裁判年月日: 平成16年7月16日 / 結論: 棄却
債権譲渡人について支払停止又は破産の申立てがあったことを停止条件とする債権譲渡契約に係る債権譲渡は,破産法72条2号に基づく否認権行使の対象となる。
事件番号: 昭和25(オ)377 / 裁判年月日: 昭和27年12月4日 / 結論: 棄却
四月一三日に成立した消費貸借上の債務につき、同月三〇日になされた抵当権設定登記において、右消費貸借成立の日が三月三一日と表示されていても、同一の消費貸借を表示するものである以上、右登記は有効である。