判旨
従前の土地について強制競売開始決定の登記がなされた場合、その差押えの効力は換地予定地や確定した換地にも及び、その後に建物登記を備えた賃借権は競落人に対抗できない。また、換地予定地そのものについて設定された賃借権は、従前の土地を取得した新所有者に対抗できない。
問題の所在(論点)
従前の土地に対する差押え(強制競売開始決定の登記)の効力が、換地予定地および換地確定地に及ぶか。また、換地予定地について設定された賃借権が、競売により従前の土地の所有権を取得した者に対抗できるか。
規範
従前の土地に対する差押えの効力は、土地区画整理による換地予定地および換地確定地にも及ぶ。また、土地区画整理の施行に伴い換地予定地が指定された場合、当該予定地そのものについて設定された賃借権は、従前の土地の所有権を取得した新所有者(競落人等)には対抗できない。これは、新所有者の不当な権利行使妨害を防止し、区画整理の円滑な遂行を確保するためである。
重要事実
従前の土地について、昭和29年に権利者(被上告人)のために強制競売開始決定の登記がなされ、昭和30年に被上告人が競落・所有権取得登記を完了した。一方で、上告人は昭和24年に当時の土地所有者から換地予定地を賃借し、その地上に建物を建築して昭和30年9月に保存登記を経由した。被上告人と上告人との間で、賃借権の対抗力が問題となった。
あてはめ
本件では、被上告人のための差押え登記が昭和29年になされており、その効力は換地予定地および後の確定換地に及ぶ。上告人が建物の保存登記を備えたのは差押え後の昭和30年であるから、差押えの効力に優先する対抗力を持たない。さらに、上告人の賃借権は換地予定地そのものについて設定されたものであるところ、このような権利を従前の土地の承継人に対抗できるとすると、市街地整頓を目的とする区画整理の遂行に支障を来すため、被上告人に対抗することはできない。
結論
上告人の賃借権は被上告人に対抗できず、上告人の請求は認められない(上告棄却)。
事件番号: 昭和36(オ)696 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
賃貸借の対象たる土地に対し、土地区画整理法に基づき換地予定地の指定がなされた結果、賃借人が従前の土地の使用収益を禁じられ、換地予定地の使用収益すべきことになつたとしても、これによつて従前の土地の賃貸借そのものが消滅に帰したわけではなく、その約定賃料もまた換地予定地の地積いかんにより当然増減するものではない。
実務上の射程
抵当権や差押えの効力が換地に随伴することを認めた上で、土地区画整理事業における権利関係の法的安定性を重視し、換地予定地特有の利用権の対抗力を制限的に解釈する。民事執行法上の差押えの効力と土地区画整理法の交錯場面で引用すべき判例である。
事件番号: 昭和33(オ)711 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】競落許可決定により土地の所有権を取得した者は、建物保護法1条(現借地借家法10条1項)に基づく借地権の対抗を受ける「第三者」に含まれる。 第1 事案の概要:被上告人(賃借人)は、昭和21年頃に建物所有目的で本件土地を賃借し、昭和27年10月に土地上の建物について所有権保存登記を経由した。その後、上…
事件番号: 昭和34(オ)269 / 裁判年月日: 昭和36年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別都市計画法に基づく換地予定地の指定を受けた者は、従前の土地の所有権に基づき、換地予定地を不法に占有する第三者に対して所有権に基づく物上請求権と同様の請求を行うことができる。 第1 事案の概要:被上告人らは、特別都市計画法に基づく換地予定地の指定を受けた土地の権利者(従前の土地の所有者)である。…
事件番号: 昭和34(オ)1106 / 裁判年月日: 昭和37年3月27日 / 結論: 棄却
宅地およびその上の建物を甲が所有していたところ、抵当権の実行により乙が建物を競落して、法定地上権を取得し(その後に宅地につき土地区画整理法によつていわゆる現地換地による仮換地の指定がなされた)、次いで丙が地上権とともに建物を譲受け、さらにその後丁が甲から宅地を譲受けてそれぞれ所有権移転登記を経由した場合においては、丙が…
事件番号: 昭和32(オ)375 / 裁判年月日: 昭和33年9月11日 / 結論: 棄却
特別都市計画法(昭和二一年法律第一九号)による土地区画整理のための換地予定地を不法に占有する者がある場合、従前の土地所有者はこれに対し所有権にもとづく物上請求権と同様の権利を行使し得るものと解すべきである。