判旨
期限の定めのない継続的債権契約において、当事者は、特別の法規や特約、または特段の事情がない限り、いつでも解約の告知をなし得るものではない。
問題の所在(論点)
期間の定めのない継続的債権契約において、当事者はいつでも自由に解約告知を行うことができるか。また、事情変更の法理に基づく解約告知が認められるための要件が問題となる。
規範
期限の定めのない継続的債権契約においては、(1)特別の法規がある場合、(2)当事者間に解約に関する特約がある場合、または(3)信義則上解約を認めるべき特段の事情がある場合のいずれかに当たらない限り、各当事者はいつでも一方的に解約の告知をなし得るものではない。
重要事実
上告人と被上告人との間には、温泉の供給を受ける分湯契約(継続的債権契約)が存在していたが、この契約には期限の定めがなかった。上告人は、木管工事の取替により他者へ分湯しているため被上告人への分湯が事実上困難であることや、事情変更があったことを理由に解約を主張した。しかし、原審では「いつでも返還を受けられる特約」や「恩恵的な給湯」といった事実は否定されており、給湯が困難になった事情も上告人の個人的な事情(中途からの他者への分湯)に起因するものであった。
あてはめ
本件契約は期限の定めのない継続的契約であるが、解約を可能とする「特別の法規」や「特約」は存在しない。また、上告人は事情変更を主張するが、原審で認定された事実関係(他者への分湯により自ら供給を困難にしたこと等)に照らせば、契約の解消を正当化するような客観的な「特段の事情」は認められない。したがって、上告人による一方的な解約告知は有効とは認められない。
結論
期限の定めのない継続的債権契約において、特段の事情がない限り、当事者はいつでも解約の告知をなし得るものではない。本件解約告知は無効である。
事件番号: 昭和33(オ)977 / 裁判年月日: 昭和34年9月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同の権利に属する温泉利用(配湯)権について、その一部の持分権を有する者が他の権利者に対して自己の権利の確認を求める訴えは、必要的共同訴訟には当たらない。 第1 事案の概要:原告(被上告人)は、被告(上告人)および訴外人Dとの三者間において、共同の権利に属する温泉利用(配湯)を受ける権利を有してい…
実務上の射程
継続的契約の解消について、民法上の原則(賃貸借等)とは異なり、一般的には「解約の自由」が制限されることを示した。答案上では、継続的供給契約等の解消の可否が問われた際、原則として解約には正当理由や特段の事情が必要であるとする規範の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和32(オ)129 / 裁判年月日: 昭和33年7月1日 / 結論: 棄却
新規温泉の掘さくがなされる前と後とにおいて既存の温泉井の温泉成分に変化があつた事実は認められず、その水位・ゆう出量・温度については軽微な変化は認められるとしても、新規掘さくがその主たる原因とは断定できず、しかもこの変化は、ポンプ座の位置を下げ、モーターを若干強力なものに取り替える等の措置により容易に既存の温泉井の利用・…
事件番号: 昭和32(オ)128 / 裁判年月日: 昭和33年7月1日 / 結論: 棄却
一 温泉法第四条は、温泉の掘さくが温泉源を保護しその利用の適正化を図るという公益的見地からとくに有害と認められる場合以外は、掘さくの許可を与えねばならないとの趣旨を定めたものと解すべきであつて、新規の掘さくが、少しでも既存の温泉井に影響を及ぼす限り絶対に掘さくを許可してはならないとの趣旨を定めたものと解すべきではない。…
事件番号: 昭和38(オ)1074 / 裁判年月日: 昭和40年4月30日 / 結論: 棄却
三重県、和歌山県、奈良県一帯において材木取引業者間の債務決済につき行なわれている通称「売り権」と呼ばれる慣行に従う契約は、いわゆる流質型の、強い効力を有する譲渡担保に該当せず、処分清算型の、弱い効力を有する譲渡担保と解すべきである。