判旨
共同の権利に属する温泉利用(配湯)権について、その一部の持分権を有する者が他の権利者に対して自己の権利の確認を求める訴えは、必要的共同訴訟には当たらない。
問題の所在(論点)
共同の権利(配湯権)に属する一部の持分について、共同権利者の一人が他の権利者を被告として確認を求める訴えが、民事訴訟法上の必要的共同訴訟(合一確定を要する場合)に該当するか。
規範
訴訟の目的が共同訴訟人の全員につき合一にのみ確定すべき場合(固有必要的共同訴訟)に該当するか否かは、当該権利の性質や管理処分権の帰属態様に基づき、実質的な利害関係の調整の観点から判断される。共同権利者の一部が他の権利者に対し、自己が独立して有する権利(持分割合等)の確認を求める請求は、特段の事情がない限り、他の権利者の権利を否定するものではなく、合一確定を要する範囲には含まれない。
重要事実
原告(被上告人)は、被告(上告人)および訴外人Dとの三者間において、共同の権利に属する温泉利用(配湯)を受ける権利を有していた。原告は、この共同権利のうち、原判示の割合(持分)の権利を自己が有することの確認を求めて訴えを提起した。第一審判決は、この請求を必要的共同訴訟であるかのような判断を示したが、原審はこれを否定したため、上告人が不服を申し立てた。また、証人尋問において裁判長が先んじて尋問を行った手続的妥当性も争点となった。
あてはめ
本件における配湯権の確認請求は、被上告人が他の共同権利者である上告人らに対し、「自己が独立して有する権利」の確認を求めるものである。このような持分的な権利確認の訴えは、特定の持分権の存否を当事者間で確定するものであって、共同権利者全員の権利関係を一体としてのみ解決しなければならない性質のものではない。したがって、訴訟の目的が共同訴訟人の全員につき合一にのみ確定すべき場合には当たらないと解される。
結論
共同権利者の一部が他の権利者に対して自己の独立した権利の確認を求める訴えは、必要的共同訴訟ではない。
事件番号: 昭和34(オ)212 / 裁判年月日: 昭和36年3月16日 / 結論: 棄却
所有権確認訴訟の係属中、訴訟の目的たる権利を原告から譲り受けたことを主張して訴訟参加をした者が、第二審で勝訴し、被告が参加人を相手方として上告の申立をしたときは、原告のためにもその効力を生じ、同人は被上告人たる地位を取得したものと解すべきである。
実務上の射程
共有持分権の確認請求などの事案において、固有必要的共同訴訟の範囲を限定的に解釈する際の論拠として使用できる。また、裁判長による尋問順序の変更についても、必要性があれば職権で認められる点を示唆しており、手続的違法を争う際の限界を示す。答案上は、数人の利害が対立する場合でも「自己の権利の確認」に留まる限りは通常共同訴訟として処理できることを説明する際に有用である。
事件番号: 昭和32(オ)129 / 裁判年月日: 昭和33年7月1日 / 結論: 棄却
新規温泉の掘さくがなされる前と後とにおいて既存の温泉井の温泉成分に変化があつた事実は認められず、その水位・ゆう出量・温度については軽微な変化は認められるとしても、新規掘さくがその主たる原因とは断定できず、しかもこの変化は、ポンプ座の位置を下げ、モーターを若干強力なものに取り替える等の措置により容易に既存の温泉井の利用・…
事件番号: 昭和35(オ)972 / 裁判年月日: 昭和37年10月26日 / 結論: 棄却
係争物件につき共有権を主張する者に対して、第三者が自己の単独所有権の確認を求める訴は、いわゆる必要的共同訴訟に属しない。