判旨
農地買収計画の承認は行政処分に該当せず、その後に当該計画や売渡処分の修正がなされたとしても、民事訴訟法上の再審事由(判決の基礎となった行政処分の変更)には当たらない。
問題の所在(論点)
農地法上の買収計画の承認や、その後の計画・売渡処分の修正が、民事訴訟法(現338条1項8号)所定の再審事由である「判決の基礎となった行政処分」の変更に該当するか。
規範
民事訴訟法(旧420条1項8号、現338条1項8号)にいう「判決の基礎となつた行政処分」の変更とは、判決の判断の前提となった行政上の法的効果が後の処分により変更された場合を指す。したがって、行政処分としての性質を有しない内部的な承認や計画の変更、または判決の基礎となっていない事由の修正は、再審事由としての「行政処分の変更」には該当しない。
重要事実
再審原告Aは、土地の所有権や買収計画の適否を争っていた。第二審判決は、計画樹立時に県道用地として買収済であればAの所有ではなく訴の利益を欠くと判示した。その後、本件買収計画の承認が訂正され、さらに売渡計画および売渡処分の一部修正等が行われた。Aは、これらの訂正・修正が民訴法上の「判決の基礎となった行政処分の変更」に当たると主張して再審の訴えを提起した。
あてはめ
まず、本件買収計画の承認は、行政組織内部の行為であって対外的な法的効果を伴う「行政処分」ではない。また、再審原告が主張する計画や売渡処分の「訂正」については、それが判決の判断を基礎づけた核心的な処分内容を変更したとは認められない。さらに、第二審が示した訴の利益に関する判断についても、再審原告が上告審で主張していなかった事項や単なる法令違反の主張は、再審事由としての「判断遺脱」や「行政処分の変更」に構成することはできない。
結論
本件買収計画の承認は行政処分ではなく、その後の訂正も再審事由に当たる行政処分の変更には該当しないため、再審の訴えは却下される。
事件番号: 昭和33(ヤ)22 / 裁判年月日: 昭和34年6月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】再審事由としての「判決に影響を及ぼすべき重要な事項につき判断を遺脱したこと」(民訴法338条1項10号)の成否について、上告審判決が上告理由に対し、独自の理由に基づき上告を採用し得ない理由を説示している場合には、判断遺脱の違法は認められない。 第1 事案の概要:再審原告は、上告審判決が、控訴審判決…
実務上の射程
再審事由(現338条1項8号)における「行政処分」の意義を厳格に捉え、行政内部の承認行為を排除した点に意義がある。答案上は、判決の基礎となった行政上の判断が後の行政手続で覆った場合の救済手段として検討するが、対象が「処分性」を持つものであるか、および「判決の基礎」となったかという二段階の絞り込みが必要であることを示す際に引用する。
事件番号: 昭和28(ヤ)3 / 裁判年月日: 昭和30年4月5日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が上告理由について調査の必要がないと判断して棄却した場合には、民事訴訟法における判断の遺脱(再審事由)は認められない。 第1 事案の概要:再審原告は、最高裁判所が下した原判決(上告棄却判決)に対し、再審事由(判断の遺脱)があるとして再審の訴えを提起した。原判決は、当時の「最高裁判所におけ…
事件番号: 昭和26(ヤ)6 / 裁判年月日: 昭和28年6月9日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】判決に影響を及ぼすべき重要事項について判断の遺脱がない場合には、民事訴訟法上の再審事由(現行法338条1項9号)は認められない。 第1 事案の概要:再審原告らは、自作農創設特別措置法14条の適用および同条の違憲性を争点としていた。原上告審判決(本案判決)は、同条が適用されるべきこと、および同条が違…
事件番号: 昭和30(オ)444 / 裁判年月日: 昭和33年2月7日 / 結論: 棄却
一 農地買収計画に関する異議、訴願を棄却する決定、裁決があつても、村農業委員会は原計画を取り消し得ないものではない。 二 農地買収計画に耕作されていない土地が含まれていても、その面積は数坪の僅少部分であつて、それ自体独立して価値のあるものと認め難いときは、右買収計画は違法といえない。
事件番号: 昭和27(ヤ)5 / 裁判年月日: 昭和28年6月23日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が違憲判断を行う場合には大法廷での裁判を要するが、当事者の主張がそのような判断を要するものに該当するか否かは、小法廷において判断することができる。 第1 事案の概要:再審原告は、原上告審判決(最高裁第二小法廷)が裁判所法10条に違反した構成で行われたとして、民事訴訟法(旧法)420条1項…