判旨
判決の言渡しは、あらかじめ期日が当事者に告知されていなかったとしても、指定された期日に公開の法廷で行われ、かつ判決正本が送達されているのであれば、判決に影響を及ぼす違法とはならない。
問題の所在(論点)
判決の言渡期日が当事者に事前に告知されなかった場合、その言渡しは憲法82条(裁判の公開)に違反し、または判決に影響を及ぼす法令違反として取り消されるべきか。
規範
判決の言渡し手続において、当事者への期日告知や一般的公表が欠けていたとしても、指定された期日に公開の法廷で言渡しが行われ、かつその後に判決正本が適法に送達されている場合には、手続上の瑕疵は判決の結果に影響を及ぼさない。
重要事実
上告人は、原判決の言渡期日が事前に告知されず、また一般に公表もされないまま言渡しがなされたと主張した。しかし、記録によれば、原判決は指定された期日に公開の法廷で言い渡されており、その後に上告人に対して判決正本の送達がなされていた。
あてはめ
本件では、言渡しが指定された期日に「公開の法廷」で行われており、裁判の公開原則(憲法82条)は形式的に遵守されている。また、上告人は判決正本の送達を受けており、上告権の行使等の不利益も生じていない。したがって、事前の期日告知を欠いたとしても、判決の効力そのものを否定すべき重大な違法があるとはいえず、判決の結果に影響を及ぼすものではないと解される。
結論
言渡期日の事前告知がなかったことは、判決に影響を及ぼす違法とはならず、上告は棄却される。
実務上の射程
判決言渡期日の告知漏れという手続的瑕疵の治癒、または判決への影響に関する判断枠組みとして活用できる。公開法廷での言渡しと正本送達の事実があれば、告知欠如のみをもって判決を無効・取消しとすることはできないことを示している。
事件番号: 昭和27(オ)440 / 裁判年月日: 昭和29年7月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判所が判決言渡期日を職権で延期する場合、当事者の出頭がなくても、新たな言渡期日を法廷で指定告知すれば、その期日に判決を言い渡すことは適法である。 第1 事案の概要:裁判所は当事者双方に対し、適法に判決言渡期日を指定・告知していた。しかし、その言渡期日の当日になり、裁判所は職権をもって当該期日を延…
事件番号: 昭和32(オ)749 / 裁判年月日: 昭和35年2月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】判決言渡期日に出頭した当事者が延期告知後に退廷した場合であっても、指定された新期日の告知の効力は当該当事者に及ぶ。また、弁論の公開の有無は、口頭弁論の方式に関する事項として調書によってのみ証明される。 第1 事案の概要:上告人は、昭和31年3月27日の判決言渡期日に出頭したが、言渡延期の告知を受け…