判旨
証人の証言に意見を述べるような部分が含まれていたとしても、それが証人の経験した事実に根ざすものであるならば、これを証拠として採用し、判示事実を認定することは採証法則に違反しない。
問題の所在(論点)
証人の証言中に意見や評価が含まれる場合に、これに基づいて事実を認定することが、民事訴訟法上の採証法則(証拠の取捨選択に関する適法性)に反するか。
規範
証拠の取捨選択は裁判所の専権に属する。証人の供述内容に一部評価や意見が含まれる場合であっても、それが証人の直接経験した事実に根ざしたものである限り、証拠能力を肯定し、事実認定の基礎とすることができる。
重要事実
上告人は、原審が採用した証人の証言の中に「意見をいうような部分」が含まれていることを指摘し、そのような証言に基づいて事実を認定することは採証法則に違反するものであると主張して、上告を申し立てた。
あてはめ
原判決が採用した証言中には、確かに意見を述べるような部分が含まれていた。しかし、それらは証人が自ら経験した事実に根ざして述べられたものにほかならない。したがって、裁判所が当該証言を証拠として取り調べ、事実認定の資料としたことは、自由心証主義の範囲内における適正な採証であり、法則違反は認められない。
結論
本件採証に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
証人尋問において、証人が事実だけでなく主観的な評価や意見を併せて述べた場合でも、その基礎に実体験が存在するならば、証拠としての許容性を広く認める趣旨である。答案上は、供述の証拠能力や証明力の評価を論じる際、事実と意見が混在していることをもって直ちに証拠から排除すべきではないとする根拠として活用できる。
事件番号: 昭和30(オ)357 / 裁判年月日: 昭和32年12月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】履歴書への不実記載が、労働者の経歴や能力に関する評価を誤らせるに足りる程度のものである場合、懲戒免職事由に該当し得る。また、特定の労働者のみを懲戒処分に付すことが、不実記載の程度や他の懲戒理由の有無に照らし合理的であれば、憲法14条に反しない。 第1 事案の概要:上告人は採用時に提出した履歴書にお…
事件番号: 昭和34(オ)396 / 裁判年月日: 昭和35年7月21日 / 結論: 棄却
一 町村合併による新町の発足により旧町村の正式職員であつた者が新たに新町の職員として任命されたような場合には、条件附任用に関する地方公務員法第二二条の適用はない。 二 地方公務員法第二八条第一項第一号、第三号に該当するかどうかの判断は、任命権者の純然たる自由裁量に任された事項ではなく、同条の趣旨にそう一定の客観的標準に…