判旨
訴訟手続における期日呼出しの欠缺という重大な瑕疵があっても、その後の期日において当事者が異議を述べずに手続を進行させた場合には、責問権の喪失により当該違法は治癒される。
問題の所在(論点)
期日の呼出しを欠いたまま証人尋問を行った訴訟手続上の違法は、その後の期日において当事者が異議を述べなかったことによって治癒されるか。責問権の喪失の成否が問題となる。
規範
訴訟手続に法令違反の違法がある場合であっても、当事者がこれを知り、あるいは知り得べき状況で異議を述べずに訴訟手続を続行したときは、民事訴訟法上の責問権(現行民訴法90条参照)を放棄したものとみなされ、手続的瑕疵の効力を争うことはできなくなる(瑕疵の治癒)。
重要事実
第一審または控訴審の訴訟手続において、裁判所が証人Dに対する臨床尋問期日の呼出しを上告人側に対して欠いたまま尋問を実施した。しかし、その後の口頭弁論期日において、上告人ら代理人は出頭した際、相手方代理人が当該証人尋問の結果を援用したことに対し、何ら異議を述べなかった。
あてはめ
本件では、証人尋問期日の呼出し欠缺という手続上の違法が存在することは認められる。しかし、上告人ら代理人は、次回の口頭弁論期日に出頭しており、相手方による尋問結果の援用を認識し得た状況にあった。それにもかかわらず、その場で直ちに異議を申し立てることなく手続を進行させた以上、責問権を喪失したものと評価される。したがって、先行する手続上の違法は治癒されたといえる。
結論
訴訟手続の違法は責問権の喪失により治癒されたため、当該手続上の過誤を理由に判決を破棄することはできない。
実務上の射程
判決手続における重大な瑕疵(呼出欠缺等)であっても、専ら当事者の利益保護を目的とする規定の違反については、責問権の対象となり、黙示の追認による治癒が認められることを示す。答案上は、手続違憲や違法を主張する場面で、相手方からの反論(責問権喪失の抗弁)の根拠として利用する。
事件番号: 昭和31(オ)656 / 裁判年月日: 昭和32年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】続行期日の変更申請の許否および口頭弁論の再開は裁判所の職権に属し、当事者の不出頭が責めに帰すべからざる事由に基づくものと認められない限り、申請を却下して審理を進めることは違法ではない。 第1 事案の概要:控訴人である上告人は、第一回口頭弁論期日に出頭せず、指定された次回続行期日についても、病気療養…