判旨
裁判上の自白の拘束力は主要事実にのみ及び、主要事実の存否を推認させるにすぎない間接事実については、当事者間に争いがなくても裁判所はこれに拘束されない。
問題の所在(論点)
主要事実の存否を認定するための資料となるにすぎない間接事実について、当事者間に自白が成立した場合、裁判所はその自白に拘束されるか。
規範
民事訴訟における裁判上の自白の拘束力は、権利の発生・変更・消滅という法律効果を規定する法規の構成要件に該当する事実、すなわち主要事実にのみ及ぶ。これに対し、主要事実の存否を認定する資料となるにすぎない間接事実については、自白の拘束力は認められず、裁判所は自由な心証によりこれと異なる事実を認定することができる。
重要事実
上告人は、被上告人が1か月分の利息相当額を損害金として受領した旨の自白があるにもかかわらず、原審がこれに反する事実を確定したことは違法であると主張した。この損害金受領の事実は、本件における主たる争点である「弁済猶予の存否」という主要事実を推認するための資料(間接事実)として主張されていた。
あてはめ
本件で上告人が指摘する「1か月分の利息相当額を損害金として受領したか否か」という事実は、主たる争点である弁済猶予の存否を認定するための資料となる「いわゆる間接事実」にすぎない。そうであるならば、たとえ当該事実について当事者間に自白があったとしても、裁判所が証拠に基づきこれと異なる事実を認定することは何ら違法ではない。したがって、原審が自白に拘束されずに事実認定を行ったことに法的な誤りはない。
結論
間接事実には裁判上の自白の拘束力が及ばないため、裁判所が自白と異なる事実を認定しても適法である。
実務上の射程
事件番号: 昭和35(オ)1081 / 裁判年月日: 昭和38年3月26日 / 結論: 棄却
民訴法第一八六条所定の申立には、個々の攻撃または防禦方法である主張または抗弁は含まれない。
弁論主義の第2テーゼ(自白の拘束力)の適用範囲を主要事実に限定したリーディングケース。答案上は、ある事実が主要事実か間接事実かを区別した上で、間接事実であれば「裁判所は自由な心証により認定可能」と論じる際に用いる。
事件番号: 昭和31(オ)1033 / 裁判年月日: 昭和33年4月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判上の自白が成立するのは主要事実に限られ、間接事実に関する自白には拘束力が生じない。また、自由心証主義の下では、間接事実が存在したとしても、裁判所が直ちに主要事実を認定すべき義務を負うものではない。 第1 事案の概要:上告人は、Dから上告人への贈与契約が成立したと主張したが、原審はその主張を排斥…
事件番号: 昭和29(オ)894 / 裁判年月日: 昭和31年5月25日 / 結論: 棄却
いわゆる間接事実についての自白は、裁判所を拘束しない。