判旨
期限後裏書がなされた手形において、所持人が白地裏書を補充して拒絶証書作成期間前の日付を記載したとしても、それが真実の譲渡日と異なる以上、補充による法律上の効果は認められず、依然として期限後裏書の性質を有する。
問題の所在(論点)
拒絶証書作成期間経過後に手形を譲り受けた者が、白地裏書に期間前の日付を補充した場合、その補充に法律上の効果が認められ、期限後裏書(手形法20条1項)としての適用を免れることができるか。
規範
手形法20条1項但書に基づく期限後裏書に該当するか否かは、形式的な記載内容ではなく、真実に裏書譲渡がなされた時期を基準に判断すべきである。白地裏書の所持人が被裏書人や日付を補充した場合であっても、その補充された日付が真実の譲渡日と合致しないときは、その補充内容によって期限後裏書としての法的性質が妨げられるものではない。
重要事実
F鉱業は所持していた本件各手形を、拒絶証書作成期間が経過した後に被上告会社へ譲渡した。その後、被上告会社は当該手形上のF鉱業名義の白地裏書に対し、自らを被裏書人として補充するとともに、拒絶証書作成期間内の日付を遡って記入した。上告人は、当該補充の有効性や期限後裏書の効力について争った。
あてはめ
本件各手形が被上告会社に譲渡されたのは、真実には拒絶証書作成期間の経過後であると認定される。被上告会社が裏書欄に拒絶証書作成期間前の日付を補充した事実は、単なる事実上の記載にすぎず、これによって「真実その日付に裏書譲渡が行われた」という法的効果が生じるわけではない。したがって、当該補充に特段の法律上の効果を認める余地はなく、実態通り期限後裏書として取り扱われるべきである。
結論
被上告会社による日付の補充は、真実の譲渡時期を左右するものではなく、拒絶証書作成期間経過後の譲渡である以上、期限後裏書としての効果(指名債権譲渡の効力)しか認められない。
実務上の射程
手形上の記載(文言性)と実態の乖離に関する判断であり、特に白地補充権の濫用や期限後裏書の認定において、形式的な日付記載よりも真実の譲渡時期を重視する実務上の指針となる。
事件番号: 昭和36(オ)1108 / 裁判年月日: 昭和37年4月6日 / 結論: 棄却
被裏書人欄のおよび裏書の日附欄白地の手形所持人は、右白地を補充しないで権利を行使できる。