判旨
分割出願は元の出願(原願)とは別個の事件であり、原願の拒絶査定に違法があるとしても分割願の拒絶査定を直ちに違法とするものではなく、また、同一の審判官が双方に関与しても法に抵触しない。
問題の所在(論点)
分割出願の拒絶査定取消訴訟において、原願の拒絶査定の適否が判断対象に含まれるか。また、原願と分割願の審査・審判に同一の審判官が関与することは適法か。
規範
特許法上の分割出願は、原願から分離して独立の出願とされたものである以上、原願とは別個の事件として取り扱われる。したがって、手続上の違法や審判官の関与の適否は、当該分割出願の手続自体を基準に判断すべきであり、原願の審査経過や同一審判官の関与が当然に当該出願を違法ならしめるものではない。
重要事実
上告人は原願の発明を6個に分割して出願したが、そのうちの一つの発明について拒絶査定を受け、審判でもこれが維持された。上告人は、原願の拒絶査定が違法であること、審査・審判段階で原願と同一の審判官が関与したこと、及び抗告審の審判官が分割を示唆したことが忌避理由(特許法93条)に該当し、審決が違法であると主張して争った。
あてはめ
まず、本件訴訟の対象は分割された一の発明の拒絶の適否であり、原願の拒絶が仮に違法であっても本件審決を違法とする理由にはならない。次に、原願と分割願は別個の事件であるため、同一の審判官が双方の審査・審判に関与したとしても、それは特許法上の除斥・忌避規定に抵触しない。さらに、審判官が分割を示唆した事実のみでは忌避理由があるとはいえず、公序良俗や憲法に違反するような不公正な手続も認められない。
結論
分割出願は原願とは別個の事件として審査されるべきであり、同一審判官の関与や原願の瑕疵を理由に分割願の審決を違法とすることはできない。上告棄却。
事件番号: 昭和32(オ)986 / 裁判年月日: 昭和36年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特許の分割出願とその拒絶査定を巡る訴訟において、原願と分割願は別個の事件であり、同一の審査官や審判官が双方に関与したとしても、直ちに除斥・忌避事由等の手続的違法は認められない。また、引用発明が技術的に実施可能であると判断される限り、新規性は否定され、当該拒絶審決は適法となる。 第1 事案の概要:上…
実務上の射程
分割出願の独立性を明確にした判例であり、答案上では、分割出願の適否が争われる場面で、原願の瑕疵や審査官の同一性を理由とする手続的違法性を否定する根拠として活用できる。分割出願における審査の独立性を論じる際の重要判例である。
事件番号: 昭和32(オ)984 / 裁判年月日: 昭和36年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】分割出願の拒絶査定の適法性は、原出願の拒絶査定の適否とは別個に判断される。引用発明と根本的な技術思想が同一であれば、単なる材質の変更による耐久性の向上などは新規性を基礎付けず、引用例の一部が実施可能であれば、装置全体としての実施可能性を審理せずとも新規性を否定できる。 第1 事案の概要:上告人は原…
事件番号: 昭和32(オ)985 / 裁判年月日: 昭和36年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】分割出願の適法性は原出願の拒絶査定の適否に左右されず、公知の技術的手段を単に置換したに過ぎない発明は、特段の新規な発明思想を含まないため新規性が否定される。 第1 事案の概要:上告人は、原出願を6個に分割したうちの1つとして、家庭用編物機の機体を台板等に起伏自在に取り付ける発明につき特許出願を行っ…
事件番号: 昭和32(オ)987 / 裁判年月日: 昭和36年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】発明の新規性判断において、公知・慣用の各部分装置を組み合わせた発明は、それらの単なる寄せ集めに過ぎず、総合により独自の効果を生じない限り、新規性を有しない。また、発明の要旨認定は、特許請求の範囲の記載のみならず、明細書及び図面の全体の記載を総合して判断されるべきである。 第1 事案の概要:上告人は…
事件番号: 昭和35(オ)684 / 裁判年月日: 昭和36年8月31日 / 結論: 棄却
実用新案登録の共同出願人の一人が登録出願拒絶査定に対する抗告審決の取消請求訴訟を提起した後において、他の者の登録を受ける権利の持分全部を譲り受けて単独の権利人となつた場合においても、出訴期間内にその旨の名義変更の届出をしなければ、右訴は、不適法であつて却下を免かれない。