判旨
法人税法上の所得計算は各事業年度を単位とする期間区分の原則に従うため、青色申告の承認を受けていない法人は、天災による損失であっても欠損金の繰越控除を行うことはできない。
問題の所在(論点)
青色申告の承認を受けていない法人が、天災によって生じた損失を繰越欠損金として後の事業年度の損金に算入できるか。また、過年度に確定した損失を次年度以降の損金として再計上できるか。
規範
法人税法(当時の9条1項)は、各事業年度の所得を当該年度の益金から損金を控除して計算するものと定めており、損益計算は各事業年度を単位として行うべきである。過去の繰越欠損金をどの程度まで損金に算入するかは立法政策の問題であり、青色申告の承認を受けた場合等の限定された例外を除き、他の年度に生じた損失を当該年度の損金に算入することは認められない。
重要事実
上告人(法人)は、天災によって生じた損失について、青色申告の承認を受けていないにもかかわらず、繰越欠損金として後の事業年度の損金に算入することを主張した。また、特定の金額(281,111円)について、昭和25年の事業年度内に生じた損金として既に確定申告に計上されていた事実があるにもかかわらず、昭和26年の事業年度の損金として重ねて計上することを争った。
あてはめ
本件法人は青色申告の承認を受けておらず、法が認める繰越控除の適用要件を満たさない。天災による損失であるという事情は、各事業年度を単位とする期間計算の原則を排斥する理由にはならない。また、問題となった損金は昭和25年度の確定申告において既に計上されており、これを昭和26年度の損金と認めることは、各事業年度の所得計算を適正に行う観点から許されない。
結論
上告人の主張は採用できず、青色申告でない法人は天災による損失であっても繰越欠損金の控除は認められない。上告棄却。
事件番号: 昭和32(オ)953 / 裁判年月日: 昭和34年2月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】青色申告書の提出がなかったという原審の事実認定に不服を申し立てる上告については、単なる事実誤認の主張にすぎないため、上告理由として採用されない。 第1 事案の概要:上告人は、所得税等に関して青色申告書を提出したと主張したが、原審は青色申告書の提出がなかったものと事実認定した。これに対し、上告人が原…
実務上の射程
法人税における期間帰属の原則(事業年度独立の原則)の重要性を示す。繰越控除のような期間計算の例外規定は、法律に明文がある場合に限り厳格に適用されるべきであり、公平等の一般条項による拡張解釈は否定される。
事件番号: 昭和32(オ)1156 / 裁判年月日: 昭和33年6月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として主張された憲法違反が原審で未主張の事実を前提とする場合、または原判決に影響を及ぼさない事実を前提とする場合は、上告理由として不適法である。 第1 事案の概要:上告人が原判決に対して上告を提起し、憲法違反を主張した事案。しかし、その主張の前提となっている事実は、原審(控訴審)では主張さ…
事件番号: 昭和32(オ)1027 / 裁判年月日: 昭和35年9月9日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】課税処分の基礎となる事実認定において、重要な証拠の検討を怠り、または経験則に反する不合理な前提に基づいて所得を推認した場合には、審理不尽または理由不備の違法がある。本件では、代用醤油の製造可能性や塩の投下実態を十分に審理せずに所得を算出した原審の判断には、事実誤認を招く手続上の不備が認められる。 …
事件番号: 昭和41(行ツ)109 / 裁判年月日: 昭和42年9月8日 / 結論: 棄却
行政処分は、法令に別段の規定がある場合のほか、その理由附記を欠く故をもつて違法となるものではない。
事件番号: 昭和35(オ)1473 / 裁判年月日: 昭和36年6月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】青色申告の承認申請書の提出期限(旧法人税法25条3項)は訓示規定ではなく効力規定であり、期限後の申請に基づき当該年度から青色申告を行うことは認められない。また、申告がない場合等には、税務官庁は調査に基づき一方的に賦課決定(決定通知)を行うことができる。 第1 事案の概要:上告人は、昭和27年度の法…