判旨
上告理由として主張された憲法違反が原審で未主張の事実を前提とする場合、または原判決に影響を及ぼさない事実を前提とする場合は、上告理由として不適法である。
問題の所在(論点)
原審で主張されなかった事実や、判決の結果に影響しない事実を前提とする違憲主張は、適法な上告理由となるか。
規範
上告審において憲法違反を主張するためには、その前提となる事実が原審で適法に主張されている必要がある。また、主張される事由が原判決の結論に影響を及ぼすものでなければならない。
重要事実
上告人が原判決に対して上告を提起し、憲法違反を主張した事案。しかし、その主張の前提となっている事実は、原審(控訴審)では主張されていなかったもの、あるいは原判決の結論を左右しない性質のものであった。
あてはめ
上告人が主張する違憲の点は、原審で主張しなかった事実、あるいは原判決に影響を及ぼさない事実を前提としている。このような主張は、判決の当否を判断するための基礎を欠くか、実質的な不服の理由とは認められない。また、その余の主張も単なる事実認定の非難や法令違背の主張にすぎず、適法な上告理由に当たらない。
結論
本件違憲主張は上告理由として採用できず、上告は棄却される。
実務上の射程
上告審は事後審・法律審であるため、新事実を前提とした主張は許されないという原則を確認したもの。答案上は、上告理由(民事訴訟法312条等)の具備を検討する際、前提事実の認定範囲を画定する根拠として用いる。
事件番号: 昭和32(オ)953 / 裁判年月日: 昭和34年2月6日 / 結論: 棄却
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事件番号: 昭和32(オ)718 / 裁判年月日: 昭和35年6月14日 / 結論: 棄却
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